試用期間は延長することができるのは

採用した人が社員として適格かどうかを判定するために、試用期間を設ける会社が多いですね。
しかしこの期間を経ても判断がつかないという場合、試用期間を延長することもあります。

このような措置は、①就業規則に試用期間延長の既定がある、②本人が同意した---このいずれかの条件を満たしていないと取ることができません。

また、この条件を満たしていれば無条件に延長できるというわけではありません。
延長するだけの合理的な理由がなくてはならないのです。

試用期間というのは、正式には社員に未だなっていないという、本人にとっては不安で、不安定な期間です。
そのため、このような期間を不当に長くすることはできませんし、特段の理由なく延長することも許されないということです。

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試用期間の延長が無効となった裁判例

この問題に関する裁判例が7/7、労働新聞のWebサイトに掲載されていました。
概要は以下の通り。

・中途採用者(ただし社会人経験なし)、3カ月の試用期間を1カ月延長。就業規則に延長の記載は無いが、本人は延長に同意。
・その後も1ヵ月単位で2回延長。
・延長期間中、退職勧奨。本人は拒否。
・会社は試用期間中に本人を解雇。

裁判所は試用期間延長、解雇ともに無効としました。

判断の主要な論拠は次のようです。

試用期間について
職務能力や適格性を見極める取り組みをしたとという証拠がない

解雇について
実質新卒者と同じであるにもかかわらず、指導したという事実が認められない

試用期間で念頭におくべきこと

試用期間に話を絞ると、この期間の目的はあくまでも、本採用の可否についての調査を尽くすということです。
延長する場合も同じですね。

試用期間は形骸化していることが少なくありません。
実際、試用期間満了時か期間途中で適格性なしと判断し、本採用拒否、すなわち解雇とするのはハードルが結構高いです。
そのため、「本採用拒否なんて、どのみち無理だよね」と決めつけてしまっている会社が多いのかもしれません。

ハードルが高いのは事実ですが、本採用後の社員と同じというわけではありません。
試用期間は人材採用の最後のステップと考えられます。
大事なのは、この期間の指導・評価をしっかりやり、記録にとることです。
これは、本採用を拒否するということに本当になったときのエビデンスになると同時に、今後の育成の貴重な資料にもなるはずですから。

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