退職と解雇

何らかの理由で従業員が会社を辞めることを、法律的には労働契約の終了といいます。

労働契約の終了には、退職と解雇の2つがあります。

退職は定年など一定の要件に該当すれば労働契約の終了となるというものです。
解雇は会社の一方的な意思によって労働契約を終了させることをいいます。

退職に関する就業規則のチェックポイント

退職については、どのような退職の事由があるのかをまずチェックします。
ここに書かれていない理由で従業員を退職させることはできません。

退職の1つの形態として定年退職というのがあります。
もし定年退職の定めがなければ当然、定年で退職になるということはありません。
以前はこのようなことはなかったと思いますが、ここ数年、まだ数は多くありませんが定年制を廃止するという会社も出てきています。
そのため見る方としては、定年を廃止したために定年退職の定めがないのか、記載が漏れてしまっているのか、どちらになるかを注意しなくてはならないかと思っています。

定年については、法律により60歳未満の設定はできないことになっています。
また60歳を過ぎてからも、何らかの形で65歳までの雇用を確保することが義務づけられています。
雇用確保の形態としては、65歳までの定年延長、65歳までの再雇用措置、定年制の廃止、このいずれかになります。

よって就業規則を見る際も、65歳までの雇用確保措置がどうなっているのかを確認します。
また、法改正により65歳を過ぎ70歳までの雇用確保措置も、会社の努力義務となりました。
この点がどうなっているのかも併せて確認します。

退職については、それ以外にどのような事由があるのか確認し、漏れがないかをみます。

退職には、自分の意思で会社を辞めるいわゆる自己都合退職があります。
これについては、退職願をいつまでに出すことになっているのかというルールを確認します。

解雇に関する就業規則のチェックポイント

次は解雇です。
どのような事由があれば解雇になるのか、必要な事由は一通り網羅されているかを確認します。

解雇もやはり、事由として挙げられていないことで解雇とすることはできません。

また労働基準法により、解雇の際には30日以上前の予告または平均賃金30日以上の解雇予告手当の支払が義務付けられています。
また産前産後休業中など一定の理由があれば、その間は解雇ができないと言う解雇制限の定めもあります。

これらについて就業規則にも記載があるかどうかを確認します。
解雇に関することに限りませんが、法に定めがあるから就業規則に何も書かなくていいということではありません。
就業規則に記載すべき事項は労働基準法で定められています。
記載が義務付けられていることについては、法律通りのことであっても就業規則に記載する必要があります。

退職と解雇両方に共通することとして、退職者の機密保持義務であるとか、競合する会社には一定期間は転職してはならないといった競業避止義務ということがあります。
また会社を辞める人には、健康保険証ですとか定期券といったようなものを返してもらう必要があります。

これらのことが漏れなく記載されているか、内容は適当かを確認します。

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