まずは現状診断

就業規則を見直す際には、まず現状はどうなっているのかを見なくてはいけません。
既存の就業規則を診断するということですね。

就業規則診断は次の3つの断面からおこないます。

コンプライアンス面、会社秩序・組織防衛の面、マネジメント・モチベーションの面、この3つです。

コンプライアンス診断

まず、コンプライアンス面について。

これには2つの観点があります。

・記載事項は網羅されているか
・記載内容に問題はないか

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記載事項について

就業規則に記載すべき事項は労働基準法に定められています。

これには、就業規則であれば必ず記載しなくてはならない「絶対的必要記載事項」と、会社に定めがあれば記載しなくてはならない「相対的必要記載事項」があります。

診断にあたっては、会社の制度がどうなっているかをヒアリングしつつ、記載事項に漏れがないかをチェックします。

記載内容について

就業規則に法令違反や不適合はないか、そして法改正に対応しているかといった面を見て行きます。

労働法令は非常に多岐に渡ります。
しかも法改正が頻繁です。
そのため、意識していなくても法令違反を犯してしまっている、あるいは違反とまでいかないまでも望ましい状態になっていないといったことがあるのですね。

その面で今の就業規則が問題ないかどうか、問題があった場合はどのようにすれば良いのかといったことを見ていきます。

例えば年次有給休暇の日数が法令より少なくなってしまっているということを見ることがあります。
特に、パートタイマーやアルバイトのように、労働時間が短いとか、日数が少ないような人たちの有給休暇の日数が法定より少ないとか、場合によってはこういう人たちには有給休暇を与えなくてもいいと誤解していることが案外あります。

また、有給休暇を使うときには会社の許可を得なくてはならないというかたちになってしまっているという例も見受けられます。

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毎日の労働時間あるいは残業時間の1時間未満の端数を切り捨ててしまっているとか、1分単位は切り捨てて10分単位にしてしまっているといったこともあります。

あるいは育児休業を取得できる期間を1年未満に限定してしまっている例もありました。
これなどは法改正に対応していない典型例です。
(実際、育児休業や介護休業に関する法令は、近年特に法改正が盛んに行われている分野なので注意が必要です)。

思いつくままに例をあげてみました。
悪意はなかったとしても、法令への誤解から結果として法令違反になってしまっているということもしばしばあります。
こうしたことを診断するのが、コンプライアンスチェックということになります。

労使協定について

労働基準法をはじめとした労働関連法制には、さまざまな労使協定の定めがあります。
労使協定というのは、使用者と労働者の過半数代表者との間で締結されます。
そして、これがあると法の規定とは異なる扱いをしても違法にはなりません。

代表的な労使協定が「36協定」です。
これを結んでおけば、法定労働時間を超えて労働させたり、法定の休日に労働させることが可能になります。
「必要に応じて残業をさせるのは当たり前ではないか」と思うかもしれませんが、法的には当たり前ではないのです。
非常災害時を除き、残業をさせるのは法的には特別なことなのです。

他にも労使協定にはいろいろあります。

診断では、就業規則の場合と同様会社の業務実態を踏まえて、必要な労使協定が結ばれているかをチェックします。

あなたの会社に合った就業規則を作成するために

就業規則は法的義務という枠組みを超えて、組織を活性化させ適法に事業活動を行うためにとても重要なツールです。
しかし、ご自身で膨大な法令情報を把握し、自社にとって最適なルールや働き方を就業規則として明文化することは難しいと感じる方も多いと思います。
ただ形を整えるだけではなく、きちんとした就業規則を整備するためには、やはり就業規則の作成や見直しに強い社会保険労務士に依頼することをオススメしています。
ヒューマンキャピタルでは、丁寧なヒアリングで現状を診断し、会社の実情にフィットした就業規則をご提案する「就業規則コンサルティング」サービスを行っていますので、就業規則の作成・見直しでお悩みの方はぜひご相談ください。