5月16日の労働新聞に、ポスト消滅による解雇は有効であるという東京地裁の判決が紹介されていました。
記事によると、新しく設置された部署に部長として就任したところ、その新設の部署は業績があがらず廃止に、本人は10ヵ月自宅待機となり、その後解雇となったということです。
ただ、会社はその間何もしないまま一方的に解雇をしたわけではなく、会社は本人に協議を申し入れ、社内公募でのポジションを5つ提示したということです。
また退職金以外にそれなりの金銭を支払うという退職パッケージも提示していました。
一方この部長本人は、社内公募のポジションに対して応募はせず、面談を求められても具体的な理由を示さないまま応じなかったということです。
所属している部署が消滅した、担当している職務がなくなったとために解雇するというのはアメリカなどではよく行われていることです。
「ポスト消滅による解雇は有効」というと、日本もそのようなことが認められるようになったのかと思われてしまうかもしれませんが、この裁判が何か新しい基準を示したというわけではありません。
判決のポイントになったのは、会社の解雇回避努力と会社の申し入れに向き合おうとしなかった本人の態度のようです。
ただこれから先日本でも、ジョブ型、職務基準の人事賃金制度が主流になっていった場合どうなるかということは考えていく必要はありそうですね。
今回の裁判例のように、部署が消滅してしまった、あるいは仕事がなくなってしまったと言う場合で、しかも社内に同じような職務がなかったとしたらどうなるか?
解雇しない(できない)のであれば、人事異動をして、職場も変更になるということになります。
賃金が職務基準(職務給)であれば、この場合は賃金が下がるのが原則です。
(異動後の職務レベルが同じであれば下がりませんが)
ここで1つ考えられるのは、職務基準と職能基準のハイブリット型にするというやり方です。
その場合、職務変更や人事異動があった場合、職務給部分はそれに伴って変動します。
一方、職能基準の方はあくまでも本人の保有能力が基準ですから、異動などによっても賃金が変わることはありません。
このようなやり方がベストとは言い切れません。
しかしこれから必要になるのは、従来型の日本型でもなく、さりとてアメリカ型を直輸入するのでもない、第3の道を模索していくべきなのではないかと思われます。
会社が成長していくうえで人材マネジメントは重要なポイントになります。
ヒューマンキャピタルは豊富な経験と専門性を元に、丁寧なヒアリングと綿密なミーティングをもってクライアント様に最適な人材マネジメント施策をアドバイスをさせていただきます。
ぜひ一度、ご相談ください。