人を雇う、会社で働く=労働契約を交わす

「労働契約と聞いてもピンと来ない人は案外多いものです。
特に正社員として会社に採用された人は、契約書を交わしていないことも多いため、なおのことでしょう。

しかし、会社が誰かを雇う、人がどこかの会社に入って働くことにするということは、すなわち労働契約を交わすということなのです。

また、労働契約の場合、契約書を取り交わすことは必須ではありません。
口頭でも労働契約は有効に成立します。

とは言え、口頭だけだと「言った、言わない」などの問題が起こりやすくなります。
そこで労働基準法は労働契約締結時に、賃金や労働時間など一定範囲の労働条件については文書で示すことを使用者に義務付けています。
また、労働契約法は労使に、労働契約の内容についてできるだけ文書により確認することを求めています。

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労働契約の内容

このような労働契約ですが、その内容は大体次のようになります。

・入社、
・勤務地、業務内容
・労働時間、休日、休暇
・賃金、賞与、退職金
・配置、人事異動、昇進・昇格
・休職
・服務、懲戒
・安全衛生、災害補償
・退職、解雇

労働契約における就業規則の機能

これを見て分かる通り、労働契約の内容は会社で働くことにかかわるほぼ全てということになります。
しかしこれらを全て労働契約書に盛り込むのは現実的ではありません。

また、始業時刻・終業時刻など、労働契約内容の多くは従業員に共通したものとなっています。
全てではなくても、たとえば営業、事務、技術などの職種・職掌ごとに共通であったりなど、一定範囲ごとに画一的・統一的に定めていいものも多いのです。

そこで重要になるのが就業規則です。
就業規則に書かれた労働条件は、その内容が合理的であることと、その内容を周知させているという条件を満たせば、労働契約の内容になるのが原則となっているのです。

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労働契約内容の変更は

この労働契約の内容が変更されることもあります。
会社は日々活動していますし、社会経済情勢も日々変化していますから、これは避けられないことです。
そしてこの場合に問題になるのは、働く人の労働条件が下がるいわゆる「不利益変更」。

労働契約は双方の合意によって成立することになっています。
したがって、変更する場合も双方の合意が必要です。
これが大原則。

しかしこの場合も、就業規則を変更し、その内容が合理的で、かつ、変更後の就業規則を周知させていれば、個々の労働契約の内容は、変更後の就業規則によるとされています。

ただ、裁判などでの争いになった場合、「周知」はともかく、「合理的である」と判定してもらうのは結構難しいし、予測もつきません。
そのため実務的には、できるだけ全員の同意を取るようにすることが多いのです。

あなたの会社に合った就業規則を作成するために

就業規則は法的義務という枠組みを超えて、組織を活性化させ適法に事業活動を行うためにとても重要なツールです。
しかし、ご自身で膨大な法令情報を把握し、自社にとって最適なルールや働き方を就業規則として明文化することは難しいと感じる方も多いと思います。
ただ形を整えるだけではなく、きちんとした就業規則を整備するためには、やはり就業規則の作成や見直しに強い社会保険労務士に依頼することをオススメしています。
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