ハラスメント対策と就業規則

ハラスメント対策で就業規則は大事なポイントになります。
もっとも、就業規則本体にハラスメントにからむあらゆる事項を盛り込んでしまうと、就業規則が膨大なものになってしまいますので、別規程にするのがいいでしょう。(法律的にはこのような別規程も、就業規則の一部とみなされます)。

具体的には次のようにします。

(1)就業規則本体には、たとえば「服務」の項の中に次のような概略的な条文を入れる。

  • 相手方の望まない性的言動等により、他の社員に不利益を与えたり、就業環境を害すると判断される行為をしないこと。
  • 職権を背景に業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為を行わないこと。
  • 妊娠・出産・育児・介護に関する不適切な言動により、他の労働者に精神的・身体的な苦痛を与えたり、就業環境を害するようなことをしないこと。

(2)同じく就業規則本体の「懲戒」の項で、懲戒処分の対象行為にハラスメントを入れる。

(3)別規程(ハラスメント防止規程)に詳細を定める。

では、ハラスメント防止規程にはどのようなことを定めればいいのでしょうか。

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ハラスメント防止規程に入れるべき項目

ハラスメント防止規程には以下の事項を入れるようにしましょう。

  • ハラスメントに対する会社の方針、対処
  • ハラスメントの内容、具体例
  • 相談窓口
  • ハラスメントがおこったときの対応
  • 再発防止
  • プライバシー保護
  • 相談者、協力者等への不利益取扱の禁止

ハラスメントに対する会社の方針、対処

まずハラスメントはあってはならないものであること、起こった場合は事実を確認のうえ厳正に対処するという旨を記載します。
そのうえで、就業規則に基づき譴責、減給、出勤停止、降格、諭旨解雇、懲戒解雇のいずれかの懲戒処分を行うことを記載します。

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ハラスメントの内容、具体例

セクハラ、パワハラ、マタハラの定義と、行為例を記載しましょう。
このブログでも各ハラスメントの行為例をご紹介していますので、参考になさってください。

相談窓口

相談窓口を設置し、それが具体的にどこなのかを記載します。
併せて相談方法(電話、メール等)も明記します。
相談にあたってのメールフォームなどをつくっておくのがいいですね。

次回、ハラスメントがおこったときの対応、再発防止、プライバシー保護、相談者、協力者等への不利益取扱の禁止などについて解説します。

リスクを予防し良好な労働環境につながる就業規則を作成するために

ハラスメント対策においても、就業規則は重要なツールとなります。
しかし、ご自身で膨大な法令情報を把握し、自社にとって最適なルールや働き方を就業規則として明文化することは難しいと感じる方も多いと思います。
ただ形を整えるだけではなく、きちんとした就業規則を整備するためには、やはり就業規則の作成や見直しに強い社会保険労務士に依頼することをオススメしています。

ヒューマンキャピタルでは、丁寧なヒアリングで現状を診断し、会社の実情にフィットした就業規則をご提案する「就業規則コンサルティング」サービスを行っていますので、就業規則の作成・見直しでお悩みの方はぜひご相談ください。