36協で決めるべきことは法で定められている

時間外労働を働く人にさせるうえで必須の36協定ですが、その中で何を定めなくてはならないかも法に定められています。

36協定の内容は?

・時間外労働、休日労働をさせる労働者の範囲
・対象期間、起算日
・時間外労働、休日労働をさせる事由
・1日、1ヶ月、1年の時間外労働の時間数、休日労働日数
・協定の有効期間
・「特別条項」に関する事項

時間外労働、休日労働をさせる労働者の範囲

時間外労働や休日労働をさせるのは、どのような社員なのかを決めます。

「全員だよ」と思われるかもしれませんね。
しかし、「全社員」というような定め方はNGです。
業務をごとに決めなくてはなりません。

これについて「労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項等に関する指針
」(以下このコラムでは「36協定指針」とします)4条には次のように書かれています。

「業務の種類について定めるに当たっては、業務の区分を細分化することにより当該業務の範囲を明確にしなければならない」

つまり、大まかな区切りではダメで、細分化した具体的な定義をしなくてはならないということです。

ではどこまで細分化すればいいのか?
この点については、以前出された通達に次のような記述があります。

「労使は、各事業場における業務の実態に即し、業務の種類を具体的に区分しなければならないものであり、事業の実態、実情を最も熟知する労使の判断が尊重されるものであるが、例えば、労働時間管理を独立して行っている各種の製造工程が設けられているにもかかわらず業務の種類を「製造業務」としているような場合は、細分化が不十分であると考えられる。」(平成11年3月31日 基発169号)

ここでポイントになるのが「労働時間管理を独立して行っている」という部分でしょう。
労働時間の管理単位、業務内容・実態を基準に決めていくということですね。

対象期間

1年に限られています。
「対象期間」とは、時間外労働、休日労働をさせることができる期間をいいます。
36協定では時間外労働できる時間の上限を決めますが、その時間を計算する期間ということです。

時間外労働、休日労働をさせる事由

どういう場合に時間外労働、休日労働をさせることができるかを決めます。
これも内容はできるだけ具体的にします。
単に「忙しいとき」というだけではダメで、どういう理由で忙しくなるのかを記載します。

1日、1ヶ月、1年の時間外労働の時間数、休日労働日数

時間外労働時間、休日労働日数の上限を、1日、1ヶ月、1年の単位でそれぞれ定めます。
1ヶ月、1年の時間外労働時間の限度時間が次のように法で定められています。

・1ヶ月45時間(1年変形の場合42時間)
・1年360時間(1年変形の場合320時間)

36協定の上限時間は、この限度時間の範囲におさめなくてはなりません。

一方、1日の時間外時間、休日労働の日数は特に規制はありません。
実状に見合うよう労使で話し合って決めるようにしましょう。

一方ただ、休日労働の「日数」に規制はありません。
しかし、時間外労働時間と休日労働時間を合計した「時間数」には次のように限度時間が定められていますので注意が必要です。

・1ヶ月100時間未満
・2ヶ月ないし6ヶ月の平均80時間以内

また、36協定で定めた上限時価を超えることがありうる場合は、「特別条項」を結びます。

時間外の上限、36協定の特別条項については別の項でお話しします。

36協定の有効期間

36協定の有効期間をどのぐらいにするかは労使の任意ですが、通達では1年とすることが望ましいとしています。
上述の通り「対象期間」は1年となっていますから、それに合わせて1年とするのが妥当でしょう。

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