就業規則と労働契約はどちらが優先される?

これまで述べた通り、合理性など所定の要件を満たした就業規則は、個々の労働契約の内容となります。
では、個々に結んだ労働契約の内容と、就業規則の内容が異なっている場合はどうなるのでしょうか?

たとえば…

ケース1:
・就業規則:所定就業時間1日7時間
・Aさんの労働契約:所定就業時間1日8時間

ケース2:
・就業規則:営業手当月額3万円
・Aさんの労働契約:営業手当月額5万円

ケース1、ケース2それぞれで、Aさんの労働条件は、どちらが有効になるのでしょうか?

労働契約法第12条には、「就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。」とあり、就業規則が労働契約より優先されることが明記されています。
したがって、ケース1の場合は、就業規則の規定が適用されます。

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就業規則より有利な労働契約は有効

これまでお話ししてきたことは、労働契約に定めた労働条件が就業規則で定める基準に達しない場合にあてはまることです。
個別の労働契約が、就業規則の労働条件を上回っている場合は、労働契約が有効です。
これは、たとえば高度な専門性をもった人材を高額報酬でスカウト採用する場合などがあてはまります。

以上から、ケース2の場合は、労働契約の規定が適用されます。

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