「労働義務」と「職務専念義務」を明記する

労働義務について

労働契約を結ぶことにより、労働者は使用者の業務命令にしたがって労働を提供する義務を負います。
これが「労働義務」です。
「業務命令にしたがって」というところがポイントです。
つまり、業務命令にしたがわないで勝手に業務を遂行しても、労働義務を果たしたことにはならないのです。

もちろん、業務命令・指示の程度は様々です。
マネジメントの観点でいうと、業務スキルが一定レベルに達した社員に対しては、業務の期限、成果物を明示し、あとは基本的に自己裁量に任せるというあり方の方がベターでしょう。
日常の細かな動作まで事細かに指示する「マイクロマネジメント」がいいとは思えません。
ただ、混同してはならないのは、「進め方は任せる」というのも命令・指示の一環であって、そういうことなしに勝手に自己裁量していいというわけではないということです。

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また、この場合に労働者が求められているのは「完全なる労務の提供」です。
健康を害した状態や二日酔いの状態で、とにかく会社にいるだけというような場合は、労働義務を果たしているとはいえません。
使用者はそのような労務の提供を拒否できますし、賃金を支払う義務も発生しません。
心身の健康を保ち、日々、所定の時間に業務を開始している状態が、「労働義務を果たしている状態」とされるのです。

職務専念義務について

また同じく、労働者は、就業時間中は業務に集中する義務を負います。これを「職務専念義務」と呼びます。
使用者の許可なく職務から離れたり、職務以外の活動を行ったりすることは、職務専念義務に違反することになります。

労働義務、職務専念義務とも、労働契約を結ぶことによって労働者に課せられる基本的な義務です。たとえ就業規則に記載がなくても、労働者は当然にこれらの義務を負います。
経営者としては、どちらも「当たり前だ!」というところでしょう。
しかし、企業秩序維持の観点からは、これらの義務を就業規則に明記しておくことが必要です。
業務命令にしたがわずに勝手に残業をしたり、仕事もせずにインターネットで遊んでいたのに「会社にはいたのだから賃金は払うべきだ」など自分勝手な理論を振りかざす人もいますし、職場に緊張感が欠けてくると、業務に関係ないことをする者も出てきます。

就業規則に労働義務と職務専念義務を明記しておくことで、こうしたことをきちんと管理し、働く人の気持ちを引き締める効果が見込めます。

基本的な、当たり前のことも就業規則に定めておくのがポイント

以上述べてきたことは、普通に仕事をしている人にとっては、わざわざ言われるまでもないような内容です。
しかし、会社にはどんな人が入ってくるか分かりませんし、労務トラブルの内容もさまざまです。
当たり前のこともきちんと明文化しておくことが、トラブル防止、トラブル対応の観点からも大事なことになってくるのです。

ヒューマンキャピタルはトラブル防止の観点から、会社の就業規則を整えます。
お悩みのことがあれば、一度ご相談ください。

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