前向きな制度改正では、判断基準が変わってくる

競争環境が厳しくなる中、人事・賃金制度を刷新して会社の戦力アップを図ろうということもよくあります。
新しい制度に移行した結果、賃金が上がる人がいる一方で、残念ながら下がる人も出ます。
全体としての賃金総額は同じでも、このように賃金が下がる人が出る場合、これもやはり労働条件の不利益変更、すなわち就業規則の不利益変更になります。

ではこのような場合の変更は、どのように考えたらいいのでしょうか?
業績が悪化したときの不利益変更と同じように考えるのでしょうか?

そうではありません。
なぜなら、このような戦略的な就業規則の変更を、経営危機等による就業規則の不利益変更の場合と同じ基準で判断するのは、適切とは言えないからです。

avatar
就業規則の作成、見直しをお考えの会社様、こちらをご覧ください!
「就業規則コンサルティングのご案内」

人事制度改革に合わせた就業規則変更の場合の合理性の判断基準は?

人事制度改革に合わせた就業規則変更の場合は、次の5点で合理性を判断されます。

① 制度内容、評価基準が公正・透明であること
② 賃金総原資は同じであること
③ 一定の経過措置が設けられていること
④ 特定の層に不当な不利益を課すものでないこと
⑤ 労働組合等と十分な協議を尽くしていること

① 制度内容、評価基準が公正・透明であること

制度が一定のポリシーのもとに設計されており、内容が公開されている必要があります。特に成果・貢献度重視型の人事制度に変更する場合、ここをしっかり押さえなければなりません。
なかでも、人事評価制度の内容や評価基準を公正・透明なものにすることは、賃金や格付といった重要な労働条件に直結するため、最重要ポイントといえます。

② 賃金総原資は同じであること

人事制度の改革を伴う「戦略的な就業規則変更」では、「原資イコール」が原則です。つまり、従業員によって賃金が上がったりさがったりしても、従業員全体で見れば、変更前と同じ金額を会社が支払っているということです。
もし、新制度移行によって従業員に支払う賃金総額が減るようであれば、法律的には、それは「戦略的な就業規則変更」ではなく従来の就業規則の不利益変更であるとされ、トラブルとなった際には、当然「差し迫った経営の危機」が無ければ認められなくなります。
人事制度の改革に合わせた、安易な人件費削減は難しいということです。

③ 一定の経過措置が設けられていること

新人事制度導入によって労働条件が下がる労働者に対し、激変緩和措置など一定の経過措置を設けているか否かも、重要な判断基準となります。

④特定の層に不当な不利益を課すものでないこと

中高年など特定の層を狙い打ちにしたような制度変更は、「戦略的な就業規則変更」とは認められないでしょう。
ただし、定年延長に伴って高齢者層の賃金を抑制するなど、関連するほかの労働条件の改善とセットで行う場合は、有効とされる可能性が大きくなります。

⑤労働組合等と十分な協議を尽くしていること
労働組合や労働者代表などと誠意をもって協議することは、ここでも重要な要件となります。

人事制度改革も就業規則不利益変更の目線が必須

このように人事制度改革も、就業規則不利益変更の観点がはずせません。
ヒューマンキャピタルは、人事制度、就業規則の両面から御社をサポートします。
ぜひ、ご一報ください。

01.就業規則の目的 02.就業規則作成 10.採用、試用期間 15.労働時間、休日、休暇 18.育児・介護 31.人事・賃金制度の考え方 36.賞与 52.有期雇用、パートタイマー 61.入社時の社会保険