従業員1人1人の賃金をどうやって決めるのかは、会社によっていろいろです。
ただ、どんな方法にも共通の原則というのがあります。
それを「賃金決定の3原則」といいます。
- 労働対価の原則
- 生活保障の原則
- 労働力の市場価格
普段は、このようなことを意識することはないでしょうね。
する必要もありません。
でも、この3原則を無視して賃金制度をつくったり、賃金額を決めることはできないのです。
それでは、3原則とはどういうものか、見ていきましょう。
賃金決定の原則~労働対価の原則
賃金は働く人が仕事をした対価として受け取るおかねです。
つまり、労働を提供した対価です。これが賃金の大原則です。
仕事のできばえ、能率は人によって差があります。
しかし、どんな結果であれ、仕事をしていたことは確かです。
仕事をしていた以上、それへの対価たる賃金は払わなくてはなりません。
これが、一番初歩的な意味での労働対価です。
では、さらに一歩進んで考えてみましょう。
仕事のできばえなどは、人によって差があります。
本当の意味での「労働対価」とは、その「差」を賃金に反映させることです。
それでは、どうやってその「差」を見ればいいのでしょうか?
それを考えることが、賃金制度をつくるということになるのです。
賃金決定の原則~生活保障の原則
賃金は、働く人にとっては生活の糧です。
従って、賃金は生活の必要性を満たすものでなくてはなりません。
これが、「生活保障の原則」です。
それでは、いくら払えば「生活保障の原則」にかなった賃金になるのでしょうか?
生活水準は人によって様々ですが…。
そういうときには、「生計費」というデータを使います。
生計費には、標準生計費、愉楽生計費、最低生計費があります。
生活保障の観点では標準生計費が用いられるのが一般的です。
また、法的に生活保障の原則を担保しようというのが「最低賃金法」です。
賃金決定の原則~労働力の市場価格の原則
労働力も、経済的「財」です。そうである以上、市場の需給関係の影響を受けます。
要するに、人手が余っているときは賃金相場が下がり、人手不足のときは賃金相場が上がるということですね。
賃金額を決定する要因は以上の通りです。
でも、何であれ賃金総額(正確には人件費総額)は会社の支払能力を超えることはできません。
当たり前のことを言っているようですが、人件費総額を正確に把握しないまま、賃金や賞与を決めているようなケースも見受けられます。
賃金は公平感も大事な要素
この3原則以外に、賃金決定で無視できない要因があります。
それが「公平性」。
これは次の2つに分けることができます。
- 内部公平性
- 外部公平性
会社内で自分の賃金を比較する~賃金の内部公平性
人は、自分の賃金額が他の従業員と比べて高いのか低いのかを気にします。
そして、もし低い場合、その理由に納得がいかないと不満を感じます。
このようなことを「内部公平性」といいます。
賃金が内部公平性に欠けると、人はヤル気をなくし、業績に悪影響を与えます。
自分の賃金は世間的にどう?~賃金の外部公平性
一方、人は自分の賃金額が他社に比べてどうなのかも気にかけます。
特に、同業他社の賃金水準は気になるところです。
これを「外部公平性」といいます。
外部公平性に欠ける、つまり自社の賃金水準が他社(特に同業他社)と比べて不当に低いと従業員が感じると、人材の流出につながります。
賃金の外部公平性は、アトラクション(人材獲得)、リテンション(人材引きとめ)に密接な関係をもつのです。
以上を要約すると、賃金の決め方は、こんなことになります。ぜひ、頭の片隅に置いておいてくださいね。
「賃金は、①企業の支払能力を上限に、②労働対価の原則、生活保障の原則、労働力の市場価格の原則に準拠し、③内部公平性と外部公平性を満たすように決定する」
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