グループ会社の人事制度統一

5月20日の日本経済新聞に、みずほフィナンシャルグループが2024年4月にも、グループ会社の人事制度を統一するという記事が掲載されていました。
狙いは、柔軟な人事異動・転籍そして採用活動や人事評価の共通化ということにあります。
柔軟な人材活用を可能にして、グループの総合力を上げていこうということですね。

競争環境が厳しくなる中、グループ企業全体で人材を最適配置し、それぞれの事業ドメインにおいて十分に力を発揮できるような形にしようということです。

人事制度統一では何が検討課題に?

狙いはいいと思いますが、現実にクリアすべき問題・課題は多々あります。
私も以前、親会社と複数の子会社の人事制度統一しようという依頼を受け、数年にわたってコンサルティングをした経験があります。
細かい点を含めると、様々な問題や課題が出てきます。

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人事等級制度

たとえば、人事等級制度に関しては、各社の等級数を統一しているなくてはなりません。
もちろん数合わせだけすればいいというものではなく、それぞれの会社の等級基準がどうなっているかを、よく分析し、共通化していく必要があります。

人事等級制度は、それぞれの会社の事業内容に合わせて、自社の求める人材像を洗い出し、等級基準として整理しています。
これらをどのように整合性をとっていくのか、ここが重要なポイントですし、同時に一番難しいところでもあります。
A会社の4等級とB会社の4等級はそれぞれどのように定義づけられているのか、両者は同レベルなのか違うといったことを一つ一つ見ていきます。

現実問題としては、すべての会社のすべての等級基準を完全に同じにするということは、おそらく不可能だと思います。
なぜなら、それぞれの会社は業種が異なり、したがって当然業務内容も異なるからです。

そのため、各社で共通する要素を洗い出し、統一的な等級基準をまず提示します。
その上で会社ごと、あるいは事業ドメインごとに固有の内容を等級基準に反映させていくというかたちになします。

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そのようにして設定し直した人事等級に対して、今の等級をどのように移行させるのかを決めていきます。
場合によっては等級が下がるということもあり得ます。
このあたりは、十分に労使で協議して進めていく必要がありますね。

人事評価制度

そして人事評価です。
これも等級基準と同様、各社それぞれの事業に合わせた評価基準を既に持っているはずです。
これをどこまで共通化するのかということと、それぞれの会社あるいは事業ドメイン固有のものをどう定義するかを、次の観点から検討していきます。

・評価基準として何を採用するのか
・それぞれの評価項目はどうしていくのか
・成果や業績はどのように捉えていくのか
・評価の手順はどするのか

このように制度の枠組みから運用に至るまで、様々なことが検討課題となります。

賃金制度

最後は賃金制度です。
これは大きくは、賃金の決定基準と賃金体系そして賃金水準、この3つが課題となります。

賃金の決定基準は人事等級に準拠するのが原則です。
人事等級基準としてグループで何を採用するのかによって、メインとなる基本給の決定基準も決まります。

そして賃金表の形をどのようにするのかです。
これもそれぞれの会社で、個々の実情に合わせて設定していると思われます。
これを一本化していくわけです。

そして賃金体系すなわち賃金項目として何を設定していくのか。
これも会社によっておそらく様々です。例えば会社によっては家族手当がある会社、ない会社があり得ます。
このような諸手当を検討し、どれを残すのか、どれをなくすのか、そしてなくす場合はどのように移行するのといったことを検討していきます。
賃金の決定基準、そして賃金項目は会社の人事ポリシーを具体化したものですから、様々な角度から検討していく必要があります。

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そして賃金水準です。
これも当然会社によって開きがあると思います。
人事等級で4等級と格付けられたとしても、会社によって賃金額には差が出てくる可能性が十分にあります。
ここは不利益変更に充分注意しながら、そして移行措置や調整措置も考えながら検討していきます。

ここまでざくっと、主要な問題点を挙げていきました。もちろん実際の作業にあたっては、もっと多くのいろいろな問題が出てくると思います。これらを一つ一つ丁寧にクリアしていく必要がありますね。困難な課題は様々ありますが、何のためにこのようなことをするのかと言う改革の目的を、全員が共有して、進めているようにするのがいいですね。

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