ジョブ型と親和性の高い人事・賃金制度は?

前のパートで、人事・賃金の決定基準には、職能、職務、役割の3パターンがあるというお話をしました。

本稿のテーマである「ジョブ型」との関係でいうと、当然のことながら職務基準がフィットします。
また役割基準も、職務基準のバリエーションですから、親和性は高いと言えます。ただ、これも前のパートで述べましたが、役割基準は運用が属人的になる可能性が高いため、注意が必要です。


属人的なやり方の代表格が職能基準(その人の保有する能力を基準にする)です。
これ自体がいいとか悪いとかいう話ではありませんが、「ジョブ型」というのはこれから述べていきますが、人事・賃金の決定基準を人とは切り離そうという発想が根底にあります。
「ジョブ型」といいながら実態は属人型ということになってしまうと混乱を招きますし、結局制度が形骸化します。
属人的な運用から離れられないのであれば、制度設計自体を職能基準にして、それをきちんと運用するべきです。
私もこれまでのコンサルティングの中で、いろいろ議論を重ねた結果、職能基準にしようとなったこともあります。
人事制度というのは、「どの制度にするか」は後付けであって、まずは「当社はこれからどのような方向でいくのか」が大事なのです。

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職務基準の考え方

職務基準の人事・賃金制度が、職務等級・職務給制度です。

「等級」というのは、社員のランク付けのことで、「Aさんは4等級、Bさんは5等級」というように序列を決めます。
尚、ここでは数字が大きい方がランクが上とします。
ただ、ここで便宜上「Aさん、Bさん」という言い方をしましたが、等級の基準は職務の価値であって人ではありません。
会社にある様々な職務を、難易度、責任度などの基準でランク付けたのが職務等級となります。

したがって、職務等級制度においては、Aさん、Bさんのランク付けはAさん、Bさんそれぞれが「どのレベルの職務を担当しているのか」によって決まります。
一方、職能基準では、Aさん、Bさんが「どのレベルの職務を遂行する能力をもっているか」によって、等級が決まります。実際にどのレベルの職務を担当しているかではありません。
そのため、「Aさんの能力レベルは5等級だけど、実際に担当している職務のレベルは4等級」という場合、職能基準なら5等級、職務基準なら4等級ということになります。

ただ、職能基準でもあっても、上記のような状態が良いわけはないので、能力に見合った職務割り当てをするようにしていくわけです。

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一方、上記とは逆に、「Aさんの能力レベルは4等級だけど、実際に担当している職務のレベルは5等級」という場合、職務等級は5等級となります。
しかしこの場合、Aさんが5等級の職務を完全にこなすことができないということが起こり得ます。そうなったときは、Aさんの等級は5等級から4等級にダウンします。

以上が職務等級の基本的な考え方になります。

当社の賃金制度をこれからどうしていこうか?
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