チーム成果が大切なのはどの国も同じ

アメリカなど海外の経営書、マネジメント書には、チームワークのこと、チーム成果のことを強調しているものが少なくありません。

少し意外な感じさえします。
アメリカといえば個人主義の国、チームのことは二の次という人が多いというイメージがあります。

しかし、チーム成果を最優先するという点は、日本とそれほど変わりはないように思われます。
組織ということを考えれば当然ではありますが。

個々の職務や職責の明確さに違い

ただ日本と異なるのは、欧米の場合、個々の職務、職責が明確になっていることが多いとされていることです。
つまり、チームが成果を上げていくうえで個々のメンバーが果たすべき役割・責任が明確になっているということですね。
「個」ありきの全体ということでしょうか。

日本はここが曖昧なことが多いです。
曖昧だから問題だというわけでは必ずしもありません。
このやり方のメリットは、個々の職務範囲が明確に定まっていないため、業務配分を柔軟に行えるということです。
また、職務と職務の隙間にるような業務は誰かがカバーするようなかたちになります。
「これは私の仕事ではありません」とはならないことが多いです。なぜなら「私の仕事」というのがはっきりしていないからです。

柔軟さにはメリット、デメリットがある

かつて日本企業の強さが際立っていた頃、その強さの源泉のひとつがこの柔軟さにあると言われていました。

職務がかっちり定まっていると、社員はその範囲内のことしかやらない(やらせられない)わけですが、柔軟にしておけばそのようなことはありません。
日々状況が変わっていく変化の激しい環境にあっては、この柔軟さは強みとなります。

しかしこのやり方には致命的な欠陥が3つあります。

ひとつは責任の所在がはっきりしないこと。
もうひとつは、このことと大いに関係しますが、チーム成果に対する個々の貢献度がはっきりしないこと

個々の役割・責任が元々はっきりしていないまま、複数の人がその都度必要なことをやって業務を完成させることが多いので、終わってみると、誰が何をしたのかよく分からなくなっているのです。

そして3番目ですが、このやり方は個々のモチベーションに過度に依存しています。

気がつく人、つまり、業務全体のこと、業務の目的を考えている人が、目配りして、欠けているもの、改善すべきものに気がつき、自分で手を動かすことで成り立っているのです。

こうなると、自発的・自律的に動く人(多くの場合優秀な人)に業務が集中します。
しかも前述の通り、チーム成果に対する個々の貢献度がはっきりしていません(と言うか、そもそもそのような評価をしていない)から、結局そういう人は報われないまま多忙な日々を送ることになります。
年功だけのお飾りのような人がリーダーに座っていると、さらに悲惨なことになります。

そのような状況でモチベーションを維持するのは至難の業です。
よく日本企業の社員のモチベーションの低さ、エンゲージメントの低さが問題になりますが、その原因はこんなところにあるような気がします。

大事なのはバランス

その一方、職務分担の柔軟さは前述の通り、変化の激しい時代にあっては強みとなります。

そこで必要になるのは、明確さと柔軟さのバランス。
個々の役割・責任は明確にしたうえで、状況に応じた柔軟な職務配分と、それを遂行した人への公正な評価を実現する仕組みが求められるのです。

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