注目される「心理的安全性」

心理的安全性が注目されています。
この手のマネジメント用語は人によって少しづつ(場合によっては大きく)異なることが多く、心理的安全性も例外ではありませんが、最大公約数的には、組織で自分の意見、考えを、不安や恐怖を感じることなく表明できる状態ということになるでしょう。

効果的な人材マネジメントを考えるうえで、とても大事な概念です。

「こんなことを言ったら上司に睨まれるのでは」とか「バカと思われるのでは」といった心配をする必要がない状態にあるか、そうでないのかによって、生産性・創造性は結構左右されるでしょうし、事故なども防ぐことができるでしょう。

実際、「なぜあのとき言わなかったのだ」と上司に咎められた部下が、頭を下げながら、「言える雰囲気ではおよそなかっただろうが」と内心毒づいているというのは珍しい光景ではないように思います。

さて、この心理的安全性について最近思ったことを2つほど。

ひとつは「心理的安全性と多様性・ダイバーシティはコインの裏表」ということ、もうひとつは「心理的安全性が欠けていると余分な仕事が増える」ということです。

心理的安全性と多様性・ダイバーシティはコインの裏表

多様性とかダイバーシティという言葉がキーワードになって久しいですね。
しかし、心理的安全性が欠けている状態で、これらが実現することはまず無理でしょう。

多様性にも色々な捉え方があります。
会社に正社員もパートタイマーもいるから当社は多様化しているのだということを言う人もいます。
これは違うでしょう…

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多様化の本質は、考え方や価値観の違いを受け入れ、共存しているところにあると思われます。
働く人それぞれの価値観などが異なるのは当然といえば当然です。
いま急に多様化したわけではないでしょう。
これまでは「同じふりをしていた」にすぎなかったのではないようにも思います。

伝統的な日本の人材マネジメントは同質性を重視したものでした。
日本に限らないかもしれませんが。

男性・正社員・若手~中堅社員を中心においた、というか、そこだけを向いた人事制度を構築し、運用してきたということで、それ以外の人達は「周辺」という位置づけだったということです。

ここでいう「それ以外の人達」というのは、女性、高齢者、非正規雇用の社員を指します。
それに障碍者のことも少しは考慮に入れていたでしょうか。
LGBTにいたっては考えることもなかったと思われます。

一方多様化とは、このような「異質」を受け入れ、さらには積極的に戦力として組み込み、活用していくということです。

ここでポイントになるのが心理的安全性です。

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多様化時代にあっても、中心にくるのは正社員であることに変わりはないでしょう。
そこで心理的安全性が欠けていると、正社員以外の人達は沈黙するしかなくなります。
下手なことを言えば契約を打ち切られるかもしれないと思ったら、沈黙しているのが安全だからです。

そうなると多様性は形ばかりのものになってしまいます。

多様性を進めるのは、何も法規制をクリアするためだけではありません。
本質的に重要なのは、多様な人材が活躍することによる相乗効果のはずです。
形だけの多様化に、そのような効果は期待できないでしょう。

心理的安全性に欠けると余分な仕事が増える

心理的安全性に欠ける組織によく見られるのが、権威主義、形式主義です。
そこで重視されるのが、資料などの体裁。
社内会議の資料なのに、なぜそこまで気を使うのかと思われたことはないでしょう?

このような体裁、形式に必要以上に時間がかかってしまうのが、心理的安全性に欠ける組織の特徴のように思われます。
これが生産性が阻害される大きな要因になっているのではないでしょうか。

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