ダイバーシティは会社にとってどんな意味が?

「ダイバーシティ経営」とか「多様化への対応」ということが盛んに言われています。
東京2020のセレモニーでも、多様性がテーマとなっていました。

ダイバーシティが重要な社会的課題であることに異論をはさむ人はあまりいないでしょう。
しかし個々の会社にとって最も大事なのは、会社にとってダイバーシティがどのような意味をもつのか、もっとありていに言えば、ダイバーシティ経営をすることで会社にどんないいことがあるのかということです。

ダイバーシティを企業のイメージアップという観点で考える向きもあります。
しかし、これは長続きしないでしょう。
業績の余裕がなくなった途端に、その旗は降ろされてしまうでしょう。
それに何より、そのような姿勢で取り組んでいる限り、対象になっている社員はいつまでもお客様扱いになってしまいます。
真の意味での多様性にはほど遠い姿。

目指すべきは、誰もが生き生きと働いている状態。
「働いている状態」とはイコール会社に貢献している状態ということです。
ここがポイントです。

「法で決められている」、「世間の目がある」といったスタンスからは、戦力として業績に貢献してもらうという発想は生まれません。
そして、そこにとどまる限りダイバーシティ経営なるものは、一時のブームで終わるのではないでしょうか。

人材マネジメントの原点に返ると

ここで改めて「人材マネジメント」は何のためなのかを考えてみます。
その答えはいたって単純で、会社の業績向上に寄与することです。
そのために、人材を確保し、戦力化し、働く環境を整えるわけです。

そう考えていくと、会社で働く人がどんな属性をもっているかといったことはどうでもよく、その人がどんな能力や適性をもっていて、それがどれだけ会社に役に立つかだけを考えればいいわけです。

もちろん現実はそこまで単純ではなく、いろいろと考慮しなくてはならないことはあります。
しかし、もしその人の属性にとらわれて、会社に貢献してくれそうな人材を逃してしまっていたら、とてももったいないことですよね。
しかし、多くの会社でそのようなことがおこっています。

性別といったことは、その人の仕事をする能力とは無関係な「形式基準」です。
伝統的な日本型人事の欠点は、このような形式基準の比重が大きい点にあるように思います。

この先会社が生き残っていくためには、形式基準から、仕事をするうえで必要な能力、担当している仕事の価値といった「実質基準」に転換していくことが必須と思われます。
それを実現するのがダイバーシティ経営、ダイバーシティ人事なのではないでしょうか。

ダイバーシティ、多様化への対応が会社にもたらすメリット

ではこのダイバーシティ、多様化への対応が会社にもたらすメリットにはどのようなものがあるでしょうか?
それは次の2つと思われます。

  • 人材不足への対応
  • 働く人の安心、会社への信頼

人材不足への対応

人材を確保する上で、ダイバーシティ・多様化への対応は切り札となるでしょう。
絶対的に人口が減っていく中、AIやRPAの活用以外の打ち手といったら、これ以外にないのではないかと思われます。

この場合、大事なポイントがあります。

ダイバーシティ人事では、次のような人たちが対象になります。

  • 非正社員
  • 女性
  • 育児・介護
  • 高齢者
  • 障碍者
  • LGBT
  • 外国人

共通項は時間に制約がある、体力が劣るなど、何かしらのハンデがあるか、従来の枠組みの外にいたということです。
後者の場合も、既存の秩序の中に入れないと仕事や生活に支障をきたすためその事実を秘匿してきたケースが多く、その点ではやはりハンデと言えるでしょう。

これまでは「ハンデがあるのだから一人前の仕事はできない」という見方が支配的でした。
しかし先進企業は、このような考え方が損失だということに気づいています。
「ハンデを除けば普通に仕事ができる」という考えに転換することにより、人材活用の幅を大きく広げているのです。

働く人の安心、会社への信頼

日々前向きに仕事に取り組むうえで大事なのは会社への信頼感でしょう。
信頼感のベースにあるのが、会社に受け入れられている状態。
それが日々安心して仕事に取り組める、意見を言っても阻害されたり叱責されることはないとった安心感につながります。
そして不安感なく仕事に取り組める会社を信頼するようになるのです。

これらが無くなると、仕事は生活の糧を得るために仕方なしにやるものとなります。
また、上司・会社の懲罰、ハラスメントなどへの恐れが仕事をする原動力になります。

会社への信頼感・安心感のある職場と、そうでない職場とでは、働く人の動きが違います。
前者の場合、皆が会社全体の利益を考えて行動してくれます。
困っている同僚には惜しみなく手を差し伸べますし、自分が得た有用な情報は皆と共有します。
そして、会社の業績にプラスになる、会社が良くなるという提案を積極的にしてくれます。

ダイバーシティ経営の推進は、このような会社作りに大きく寄与するものと思われます。

これからの人事制度、賃金制度をどうするか

以上、今回はダイバーシティと会社経営の関係について思うところを述べさせてさせていただきました。

ダイバーシティ、多様化への対応は人事制度、賃金制度の整備があってこそ実現できます。
ヒューマンキャピタルは豊富な経験と専門性を元に、丁寧なヒアリングと綿密なミーティングをもってクライアント様に最適な賃金制度をアドバイスをさせていただきます。
ぜひ一度、ご相談ください。

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