多様化には3つの断面がある

多様化には①働く人の価値観、②会社の人材活用方針、③働き方・働かせ方(雇用形態、働く態様)の3つの断面があります。

以下、それぞれの概要と会社の人材マネジメントの関係を見ていきます。

働く人の価値観

ここでいう価値観とは、仕事に対する基本的なスタンスや仕事への関わり方を指します。
これは以下の4つに分類整理できます。

全面コミットメントタイプ
ワーク・ライフ・バランスタイプ
職務ロイヤリティタイプ
そこそこタイプ

全面コミットメントタイプ

会社に我が身を全面的にゆだねる、従来型の会社員タイプです。
定年までの勤務を前提に職業生涯を組み立てており、会社の人事異動・転勤命令や時間外・休日労働の命令にも、よほどのことがなければ異議なく従います。
ただし、自分の働きぶりを会社に認めてもらいたいという意識が強い人は多いと思われます。その点は「職務ロイヤリティタイプ」も同じなのですが、こちらのタイプは、自分の働きぶりが正当に評価されていないと感じるとさっさと会社を辞めますが、全面コミットメントタイプの人はそのような行動はあまりとらず、不満を抱いたまま会社に残るということが少なくありません。
よって、終身雇用をベースに職能給制度、業績連動型賞与制度などを取り入れていくのが適当です。

ワーク・ライフ・バランスタイプ

職業生活と私生活との調和を重視するタイプです。「バランス」ですからどちらが優先ということではないのですが、このキーワードを意識するということは、ライフにそれなりの比重がくることを意味します。
また、ここでいうワーク・ライフ・バランスタイプは、私生活を充実させつつ、同時に仕事でもしっかり成果を出し、ステップアップしていくという志向をもった人を指します。私生活重視という点では「そこそこタイプ」に似ていますが、仕事へのスタンスが異なります。
人材マネジメント施策で有効なのは、働く時間と場所の柔軟性です。時短勤務も有効です。
また、私生活への配慮、勤務の柔軟性を認めると同時に、成果や貢献度をきちんと評価し処遇に反映させる仕組みも必須です。

職務ロイヤリティタイプ

仕事そのものに忠誠を誓うタイプです。好きな仕事には寝食を忘れて打ち込みます。会社に対する忠誠心は、自分が打ち込める仕事をさせてくれる限りにおいてとなります。
職務ロイヤリティタイプには「専門性追求タイプ」、「事業家タイプ」などの類型もあります。。
このタイプには、社内公募制など自分の仕事を自分で選ぶことのできる制度を用意するのが有効です。副業を認めるという手もあります。
また事業家タイプの場合は、早期退職優遇制度や創業支援制度などスピンオフを促す制度も有効です。
賃金制度は貢献度や成果がダイレクトに反映されるようなものが適当と思われます。

そこそこタイプ

仕事はそこそこに、日々の生活を楽しむことに最大の価値を見出しているタイプです。それゆえ、仕事は生活や趣味に必要な原資を得る手段と割り切っています。
一見ネガティブな印象を持たれるかもしれませんが、組織にはこのようなタイプの人材も一定数必要なのです。また「そこそこ」と書きましたが、これは仕事に手を抜くということではなく、担当業務はきちんと仕上げてくれます。
このようなタイプの場合、職場環境、福利厚生を人材マネジメント施策の中心におくのが有効です。賃金は年功序列が適当ですが、担当業務の中心は定型業務になると思われますので、職務給を一部に取り入れてもいいでしょう。

次回は会社の人材活用方針、雇用形態と働く態様についてみていきます。

これからの人事制度、賃金制度をどうするか

以上、多様化の1つ、働く人の価値観について書かせていただきました。

会社が発展していくうえで、人事制度、賃金制度もダイバーシティ、多様化に対応していく必要があります。
このような要請に、ヒューマンキャピタルは豊富な経験と専門性を元に、丁寧なヒアリングと綿密なミーティングをもってクライアント様に最適な賃金制度をアドバイスをさせていただきます。
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