正社員、パートタイマーなど雇用形態が複数ある場合、就業規則はどうすればいいのか

パートタイマー、契約社員など、雇用形態が異なる従業員がいる場合、どうしたらいいでしょうか?

正社員と労働条件などが異なる場合、正社員の就業規則には「○○については別に定める○○就業規則によるものとし、本就業規則は適用しない」と委任規定を設け、別規則を作成するのが一般的です。

もしパートタイマー用の就業規則や契約社員用の就業規則が無かった場合、どのようなことになるのでしょうか?

「パートタイマーは個々に交わす労働契約で労働条件を決めているから大丈夫」

果たしてそういい切れるものでしょうか?

パートタイマー就業規則を作成していない場合、どういうことになるでしょうか?
この場合、パートタイマーの労働条件は、個別に交わす労働契約によることになります。

しかし、労働契約法第12条は、「就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において無効となった部分は、就業規則で定める基準による」と、労働契約より就業規則を優位においています。
もしパートタイマー就業規則が無い場合、労働契約法の定めをそのまま適用すると、パートタイマーにも正社員就業規則を適用しなくてはならないとなってしまいます。


現実にこのような形式的な法の適用がされるとは限りません。しかし、トラブルを防止するためにも、パートタイマー就業規則を作成しておく必要があると言えるでしょう。

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労働者からの意見聴取は?

就業規則を作成、見直しをするときは過半数労働組合か労働者の過半数代表者の意見を聴かなくてはなりません。
ではパートタイマーや有期雇用者用の就業規則を作成・見直しをしたときは、どうすればいいのでしょうか?

このように、雇用形態の異なる従業員の就業規則を設ける場合でも、正社員就業規則の適用を受ける労働者が、それ以外の労働者を含めた全労働者の過半数を占めている場合は、正社員就業規則の適用を受ける労働者の代表者の意見だけを聞けば問題ありません。


しかし、たとえば、パートタイマーなどの就業規則を定める場合、パートタイマーの意見を聞くことが望ましいのは言うまでもありません。
パートタイム・有期雇用労働法でも「事業主は、短時間労働者、有期契約労働者に係る事項について就業規則を作成し、又は変更しようとするときは、当該事業所において雇用する短時間労働者の過半数を代表すると認められるものの意見を聴くように努めなければならない」という内容の努力義務を課しています。

良好な労使関係を築き、社内を活性化するという観点でも、就業規則の適用を受ける従業員の意見を聴くようにすべきでしょう。

就業規則と労働契約、労働協約、法令との関係は

労働基準法は、第92条で「就業規則は、法令又は当該事業場について適用される労働協約に反してはならない」と、第93条で、「就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において無効となつた部分は、就業規則で定める基準による。」と定めています。

就業規則が法令に違反してはならないことは言うまでもありません。たとえ、それが正当な手続を経たものであっても、労働者代表が賛成であってもです。

また、労働協約に反することもできません。労働協約とは、会社と労働組合が、労働条件に関して合意した内容を書面にし、双方が記名押印したものです。
使用者が一方的に定めることのできる就業規則より、団体交渉を経て定められた労働協約に優位性をもたせています。

01_1.就業規則作成 01_2.就業規則作成、見直しの実際 02_1.メンタルヘルスと就業規則 02_2.ハラスメントと就業規則 02_3.労働契約と就業規則 03.労使協定 10.採用、試用期間 11.退職、解雇 12.服務 13.懲戒 14.人事 15.労働時間 16.賃金規程 17.安全衛生、メンタルヘルス 18.育児・介護 19.ハラスメント 19_1.セクハラ 19_2.パワハラ 19_3.マタハラ 20.年少者 31.人事・賃金制度全般 32.人事等級制度 32_2.昇格、降格 33.人事評価制度 34.賃金制度 35.ジョブ型人事 36.賞与 40.モチベーション、エンゲージメント 40_2.心理的安全性 41.人材育成 45.採用 51.テレワーク 52.有期雇用、パート 53.正社員登用 54.高齢者雇用 60.社会保険 61.入社時の社保 63.事業所新設と社保 65.労災、通災 70.業界別人事・労務 71.外食・小売業の人事労務 80.ダイバーシティ、多様化 80_2.複線型人事 85.働き方改革 100.コラム