柔軟な労働時間制度には何がある

いつ、どのように仕事をするかは自分で決めたいという人は少なくありません。
実際そのような柔軟性は、働く人のモチベーションや生産性・創造性にプラスの影響を与えると言われています。
また、育児、介護などの事情で、そうしたいという人もいるでしょう。

労働時間制度にも、柔軟なものがいくつかあります。
その代表例と言えるのが裁量労働制(専門業務型、企画業務型)。
これは業務の時間配分や進め方を本人の裁量にゆだねる制度。労働時間は労使協定などで定めたみなし時間となります。

「働き方改革法制」のひとつとして生まれたの「高度プロフェッショナル制」もそのひとつ。
これはいわゆる高度専門職に適用されます。労働時間等に関する規制が適用除外となります。

しかしこれら制度が普及しているとはとても言えません。
その理由のひとつが、使い勝手の悪さ。
導入には様々な要件、手続きがあり、相当煩雑です。

これは仕方ない面もあります。
このような制度を、残業代を支払わなくてもいい制度と考え、およそ実態とはかけ離れたものにしている例があるためです。実質的なサービス残業になってしまっているというわけですね。

そこまで酷くなくても、働きに見合った賃金を得られていないという不満が出ている会社は少なくありません。

ただ、それを理由に導入までのハードルを必要以上に上げてしまうのは本末転倒な気もしますが。

柔軟な労働時間制度に会社はどう向き合えば

では、これから先、このような柔軟な労働時間制度に会社はどう向き合えばいいのでしょうか?
無理やり向き合わなくてもいいという考えもありますが、多様な人材の活用(ダイバーシティ)、働く人のモチベーション・エンゲージメントといったことを考えると、やはりしっかり向き合っていくのが、いい会社づくりにつながるように思います。

まず、会社が取るべきスタンスとして、制度ありきで考えないことです。
これは何でもそうなのですが。

大事なのは、会社の業務内容・業務実態を踏まえ、どのようなワークスタイルが適合するのかを、まず考えることです。
同時に、働く人の様々な制約条件(育児、介護など)を考えることですね。

これらから、どのような制度を入れるのが適当かを検討するということですね。

大事なのは成果や貢献度を賃金などの処遇に反映させる仕組

もうひとつ大事なのは、成果や貢献度を賃金などの処遇に反映させる仕組み。
裁量労働制に対する不満の多くは、そのような仕組みががない、あるいはあっても十分機能していないところに、その原因があると思われます。

自己裁量性に任せたやり方にしておきながら、賃金は年功時列で成果とは無関係に決まるとしたら、不満が溜まるということは容易に想像がつきます。それなら普通に残業代を払ってくれとなります。

労働時間制度は人事・賃金制度とセットで検討すべきものです。単独では無理が生じます。
これはいかなる制度についても言えることで、何か制度をいじるとか新しい制度を入れる場合、他の精度との整合性は取れているのか、考え方は一貫しているか、諸般の事情でどうしても矛盾が生じる場合でもうまく調整が取れようになっているかといったことをしっかり考えなくてはなりません。それができていないと制度は破綻します。

裁量労働制というのは処遇の基準を、その人がどれだけ時間をかけたかではなく、どんな仕事をしどんな結果を残したかに置こうというのが根底にあると思われます。
そうであれば、賃金は年功序列で成果との関係が希薄という状態のまま裁量労働制を入れても機能しないでしょう。

賃金は、社員に対する会社の最大のメッセージです。
メッセージは筋が通っていないといけません。
「当社は社員の貢献度に報いる」と言いながら、賃金が年功で決まっていたら、社員は混乱します。
そして、本当はどちらなのかを考えます。
その場合、当然、言葉よりも実際の行動・結果が真実と捉えられます。
上記の場合、会社は社員を年功で報いるのだと捉えられてしまいます。

裁量労働制度を入れるということは、当社は「実質基準」で社員の働きに報いるというメッセージを発することになります。
そのメッセージがその通りに受け取られ、社員の行動に反映されるためには、根っこにある賃金制度の変革も必須です。
それがないと、残業代を払わないための制度と受け止められ、本来の機能を果たさなくなってしまうのです。

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