社員から「妊娠しました」という報告があったら

おめでたい報告ですが、会社はただ祝福しているだけではいけません。
いろいろとやるべきことがありますし、注意すべき点もいろいろとあります。

また、ご本人も不安におもうことがいろいろとあるでしょう。どのようなサポート体制があるのかをきちんと説明し、安心して出産、育児を迎えられるようにしたいものですね。

「出産」の法律上の定義は

出産に関しては、様々な保護措置があります。

この「出産」とは、労働基準法では妊娠4ヶ月以上の分娩をとしています。
そして、ここでいう1ヶ月は28日として計算することになっていますので、4ヶ月以上とは85日以上ということになります。

そして、「妊産婦」とは妊娠中の女性および産後1年を経過しない女性をいいます。

産前産後休業

出産にかかる保護措置でもっとも大きいのが、この産前産後休業でしょう。

産前休業は、6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求したときに与えます。
「請求したとき」というのがポイントで、ご本人の請求がなければ休業させる必要はありません。
もちろん、「休んではならない」などと言って、休業をさせないような行為をするのは違法です。

一方産後休業は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならないというものです。
つまり、休業させることが義務になっており、本人の請求の有無は関係ありません。
ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合、医師が支障がないと認める業務に就かせることは可能です。

なお、出産当日は「産前」となります。したがって、産後休業は出産日の翌日から8週間となります。

産前産後休業にかかることは就業規則に記載しなくてはなりません。

妊産婦の時間外労働等の制限

妊産婦の時間外労働、休日労働、深夜業の制限

妊産婦が請求した場合、時間外労働、休日労働、深夜業をさせることはできません。
この時間外労働等は、36協定によるものだけではありません。非常災害の場合なども含まれます。

妊産婦の時間外労働等の制限にかかることは就業規則に記載しなくてはなりません。

妊産婦に対する変形労働時間制適用の制限

妊産婦が請求した場合、1か月単位の変形労働時間制、1年単位の変形労働時間制、1週間単位の変形労働時間制であっても、1日8時間、1週40時間を超えて労働させることはできません。
ただし、フレックスタイム制は適用可能です。

変形労働時間制を採用している会社は、妊産婦の制限に関することも記載しなくてはなりません。

妊産婦が管理監督者だった場合

管理監督者は労働時間規制の適用が除外されています。
そのため、上記の時間外労働・休日労働、変形労働時間制の制限も適用されません。
ただし、深夜業の規制は管理監督者にも適用されていていますので、妊産婦の深夜業の制限は管理監督者にも適用されます。ここは要注意ですね。

妊産婦の通院休暇

医師または助産婦の指示により保健指導または健康診査を受けると妊娠中の女性から請求があった場合は、そのために必要な時間を次の通り与えなくてはなりません。

・妊娠23週まで:4週に1回
・妊娠24週から35週まで:2週に1回
・妊娠36週から出産まで:1週に1回

また、出産後1年以下の女性が医師または助産婦の指示により保健指導または健康診査を受けるという場合も、必要な時間を確保するようにしなければなりません。

これらのことも就業規則に記載する必要があります。

育児時間

生後満1年未満の生児を育てる女性が請求した場合は、休憩時間の他に1日2回、それぞれ30分の育児時間を与えなくてはなりません。

妊産婦の就業制限

妊産婦に重量物を取り扱う業務、有毒ガスを発する業務など妊娠等に有害な業務に就かせてはなりません。
これは本人の請求の有無にかかわらずです。

また、妊娠中の女性が請求した場合は他の軽易な業務に転換させなくてはなりません。