昇進・昇格は人材マネジメントの中核

会社の人材を活用し、処遇する一連の営みを「人材マネジメント」といいます。
中身は多岐に渡りますが、その中でも「昇進・昇格」をどうするかは、コアにくる重要な施策のひとつですね。
人事の季節になると、自分は昇進できるかとそわそわする人があちこちに見られますし、誰が次の部長ポストを射止めるかが酒席での話題にあがります。
仕事そっちのけで情報収集にいそしむ人もいて、「あの行動力を仕事で出していればね…」といった陰口もきかれたりします。

「昇進」と「昇格」 どう違う?

厳密に言うと「昇進」と「昇格」は異なります。
一般に昇進とは、役職の上昇をいいます。「課長から部長に昇進する」ということですね。
一方「昇格」は、人事等級の上昇を指します。
ただ、日常会話の中で厳密に区別していることは、人事部員などを別にすればあまりなく、また、会社によっても定義が異なりますので、ここでは区別せず「昇進・昇格」としておきます。

昇進・昇格制度をどのような内容にするか、どのように運用するかは、人材マネジメントの中核になる施策のひとつです。
どのような人を昇進・昇格させるかは、会社が社員に対して発する重要なメッセージになるからです。
つまり、会社はどのような社員を評価するのか、社員にどうあって欲しいのかを、昇進・昇格人事は雄弁に語っているのです。

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これまではどんな昇進・昇格が行われてきたか

この昇進・昇格ですが、伝統的な日本のやり方の特徴は、次のようになっています。

  • 入社年次または学卒年次(新卒定期採用であればイコール)が基準
  • 短期間では大きな差をつけない
  • 第一次選抜、第二次選抜…というかたちで、同じ年次の最優秀者、次点者…を1年ずつずらしながら昇進・昇格させていく
  • したがって、数年のうちに同じ年次の社員の8割前後は課長になっている
  • そこからさらに数年かけて部長に昇進・昇格する社員をふるいにかけていく。そのため同じ年次の社員のある程度の割合が部長になっている。

このように、定年までの長期間にわたって社員をふるいにかけていくシステム。
「同期」に比べて多少昇進・昇格が遅れても、同じポストに追い付いたら、そこから上にいくところは再度横一線の競争になります。
いったんはリセットさせるわけですね。
もちろん、早く昇進・昇格した方が、該当ポジションでの経験も早くできることになりますから、その分有利ではありますが、1~2年程度の差なら挽回も十分できます。

そのようなことから、かなりの年齢まで横一線の競争が続くことになります。
全員が結構な年齢になるまで社長・役員ポストを目指して競争している状態と言えます。
自分に見切りをつける年齢がかなり後ろになっています。
これが会社員のモチベーションになっていたといえるでしょう。

これまでの昇進・昇格のやり方が機能しなくなっている

ただし、このようなシステムが有効に機能するには条件があります。
それが次の2つ。

  • 組織が拡大していて、十分なポストがある
  • 入社した人は皆、昇進・昇格したいと思っている

いま、この前提条件が崩れています。

成長の鈍化、社員の高齢化などの要因で、ポストに空きがなくなっています。
少し前までの採用人数を絞っていた頃は、何年たっても自分の下が入ってこないため、いつまでたっても自分が職場で一番下っ端という状況が結構見られました。

ここ数年は、会社の採用が盛んになってはいますが、高齢化という状況に変わりはありません。

価値観の多様化ということもあります。誰もが立身出世を望んでいるとは限らなくなっています。

管理職ポストに魅力を感じない人も増えています。
実際、残業代含めた総月収で比較すると昇進してもそれほど賃金に差がない(場合によっては逆転する)ということも見られます。
実際のところ、年収で見たらそれなりに差がついているとか、長い目で見れば昇進・昇格した方がやはりいいということはありますが。

いずれにしても、それほど待遇が良くなるわけでもないのに、責任ばかり重くなるという受け止めをする人が結構いることが事実です。

終身雇用への忌避感・不信感もあります。
バブル崩壊、リーマンショックなどを経て、「終身の雇用」など保障されたものではないという認識を皆が(特に若い世代は)持つようになっています。

実際のところ「終身の雇用」などを保障している会社は昔から無かったし、無理なはずなのですが、そのような幻想が大企業社員の間にあったわけですね。そのような幻想を会社が抱かせていたとも言えます。

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また、定年まで縛られたくないという思いも、これまた若手社員を中心に増えています。

これらの様々な要因が絡み合って、会社への貢献度や成果を、「長い目でみて」ではなく「ただちに」処遇に反映して欲しいという意識が強くなっています。
多分、優秀な人ほどそのような意識でいるように思います。

このような中で会社は今後、どのような人材マネジメントをしていけばいいのでしょうか?
簡単に答えの出る問題ではありません。

考えるポイントは次のようになってきます。

  • ポスト一辺倒からの脱却
  • 職務そのものへのロイヤリティを高めること
  • 貢献・成果を適切に反映させる仕組み

引き続きこのコラムで、この問題を考えていきたいと思います。

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