役割等級構築の流れを理解しよう

役割等級制度とは

役割等級制度とは、その人が担っている役割のレベル(大きさ、重さなど)によって等級を決めようというやり方です。
役割のレベルといっても、なかなかピンと来ないかもしれませんね。
これは主に、責任の重さ・程度、影響する範囲(会社全体、部署全体、担当範囲など)、業績や業務の進行に与える影響といったものになります。
もし失敗したら、どれだけの範囲で、どれだけの人が影響を被るかという目線でみることもできますね。

役割を果たすのは、当然のことながら職務を通じてということになります。
つまり、担当している職務の内容やレベルによって役割の内容・レベルも決まります。
したがって、役割等級というのは、職務等級の派生形ということになります。
ただ、職務の内容そのものを定義してい等級にひもづけるのではなく、役割というもっと大まかな単位で等級を定義していきます。それによって、職務等級に欠けているとされる柔軟性を実現しようとしています。

役割等級構築の流れ

役割等級構築の流れは、次の通りです。


 1)等級数を決める。
 2)等級ごとの定義(概要)を決める。
 3)等級ごとに代表職務を選ぶ。
 4)代表職務の分析。
 5)職務分析の結果から、等級定義(詳細)を決める。

役割等級数を決める

「何もしないでいきなり等級の数など、決められるのか?」と思われるかもしれません。
厳密に言うと、そうです。まだ、何の分析作業もしていないのですから。
でも、等級数を決めておかないと、等級定義も、分析作業もできません。
「にわとりが先か卵が先か」みたいな話ですが…

ただ、等級の数というのは、経験的に決めることができます。
「当社は大体これぐらいかな」という決め方で、まず、間違いはありません。
そして、管理職層2~3、一般社員層3~6というのが妥当な数です。
これより少ないと、等級の幅が広すぎ、同じ等級の中に、明らかにレベルが異なる役割が混在します。
逆に、これより多いと、等級の差がわかりにくくなります。

役割等級の数を決めるときは、
・そこにどういう人があてはまりそうか
・どんな仕事があてはまりそうか
――こうしたことをイメージしながら決めるのがよいでしょう。
こうして、等級と等級の間に、はっきりとした違いがありそうなら、等級を分けた方がいいし、違いがうまく説明できそうになかったら、分けないほうがいいでしょう。

等級の定義(概要)を決める

等級の数が決まったら、等級定義を決めます。

等級の数を決める段階で、それぞれの等級にはどんな仕事、どんな人があてはまりそうかイメージしましたね?
そのイメージを、等級定義にあてはめていきましょう。
この段階では、おおまかなものでOKです。
たとえば…
「経営トップの方針を受け、部署の方針・目標を立てる。部署の経営資源(ヒト、モノ、カネ)を最適配分し、目標を達成する」
「担当業務については、業務の進め方などは自分で考え実行し、指示されたアウトプットを出す」
…などです。

また、この時点で等級と役職の対応表をつくります。
こうしておけば、上記の役割定義(概要)も、実際の役職と対応させて考えることができます。(「部長なら、どんな役割を果たすべきなのか?」と考えるわけです)。

等級ごとの代表職務を選ぶ

等級定義(概要)を固めるとき、等級と役職の対応表を作りました。
また、どんな人がそれぞれの等級にあてはまりそうかもイメージしました。

そこで、第3段階では、等級ごとの代表職務と、それを実際に担当している人をフィックスさせます。

代表職務の役割分析

等級ごとに、代表職務を担当している人が果たしている役割がどんなものかを分析します。
ポイントは、どの人を選ぶかです。
いわゆる「ハイ・パフォーマー」を選ぶべきでしょう。つまり、その等級の役割を十分に果たしている人です。
こうして作った役割等級は、等級ごとに、「果たすべき役割」を明示したものとなります。
言い換えると、等級ごとの「期待される役割」ということになるのです。

分析する前に、着眼点をいくつか設ける必要があります。
責任・権限、難易度、専門性、自立性、負荷などが考えられます。会社の実情に応じて設定するのがいいでしょう。

分析方法は、その人へのインタビューが中心になります。
複数の人が同席するのがベターです。
補足資料として、その職務のマニュアル、職務の成果物(企画書など)を出してもらうのがいいでしょう。

役割分析の結果から、等級定義(詳細)を決める

第4段階までの作業で、役割等級の中身を決めるための材料はそろいました。
そこで、その材料を使って、役割等級定義(詳細)を固めます。
分析の着眼点で使った要素(責任・権限、難易度、専門性、自立性、負荷)ごとにまとめるのがいいでしょう。
また、分析の結果、最初に決めた等級定義(概要)が実情に合わないと感じたら、それも修正します。

任用基準

役割等級の定義が決まったら、今度は、「任用基準」を決めます。
これは、
・制度導入時、どんな人をどの等級にするか(移行時格付け)
・昇格・降格をどうするか
――の2点を指します。

移行時格付け

最初に、全社員をどの等級に位置づけるかです。
各社員が、どんな仕事をしていて、その遂行状況はどうかを見て、ふさわしい等級を決めていきます。

ここで、ほぼ必ず起きるのが、「現在の役職ポストと等級のミスマッチ」です。
特にこれまで、年功序列型の人事制度を運用していたような場合は、それが顕著に出ます。

「○○さんは部長だけど、どう見ても部長の役割を果たしていない」
「△△さんは主任だけど、もう部長レベルの仕事をこなしている」
などといったことです。

この場合、次の2通りの対応が考えられます。

・最初は現役職対応の等級に格づける。その後、新制度に基づく人事評価を行い、新しい基準に基づいた昇格・降格を行う。

・最初から新基準に基づいた等級に格づける。ただし賃金は、しばらくは現行水準を維持する。

昇格・降格

基準になるのは、人事評価です。
人事評価にもいろいろな着眼点がありますが、役割等級制度を入れるのなら、人事評価もそれに対応させないといけません。「役割評価」を導入し、昇格・降格の判断基準にする必要があります。

「何回分の人事評価を見るか」も考えます。
1回分だけだと、「瞬間風速」で昇格・降格を決めることになりかねません。
だからといって、あまり多すぎると、その分過去の評価をいつまでも引きずることになり、望ましくありません。
私は、役割評価が年1回だとすれば、2回分の評価を見る(=2年分の評価を見る)のが妥当かと思っています。

昇格・降格を、人事評価だけで決めることはしないほうがいいでしょう。
こうすると、人事評価結果だけで自動的に昇格・降格することになります。
昇格・降格というのは、会社にとっても本人にとっても、非常に重大なことです。慎重な運用が必須です。
「格付け委員会」のようなものをつくって、改めて昇格・降格を1人1人判定するべきです。つまり人事評価は、「昇格・降格ノミネート基準」となるわけです。

また、一般社員層→管理職層のような節目の部分では、幹部による面談など特別な審査をした方がいいかもしれません。

わが社の賃金制度をどうするか

以上、今回は人事等級制度のひとつ、役割等級制度について解説させていただきました。

会社が発展していくうえで、人事制度、賃金制度の整備は欠かせません。
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