昇格には基準が必要

「〇〇さんも頑張っているから、そろそろ昇格させたい」
このように経営者や上司あるいは人事の方は考えます。

頑張りに報い、これからも引き続き頑張ってほしいというとき、昇格は重要なインセンティブになります。

昇格をする場合にも、きちんとした基準をもって行う必要があります。
それがないと、「上司に気に入られたから昇格したんだ」といったような不平不満を引き起こします。
実際、そのような例は少なくありません。

以前であれば、年齢や勤続年数を基準に昇格人事が行われることが多くみられました。
いまでも残っています。

しかし、このようなやり方も納得性は得られなくなっています。
「年の功」もあるでしょう。
また、経験年数を積むことで、仕事の習熟度が上がるのも事実です。

ただ、そうであれば「年の功」がどのように成果に結びついているのか、あるいは仕事の習熟度はどのレベルなのかを評価すべきで、単純に年齢や勤続年数をもって昇格判定するべきではないでしょう。

以上から、昇格や降格は客観的な基準で実施すべきで、その基準としてはずせないのが人事評価となります。

昇格・降格とは

昇格・降格とは、役割等級や職能資格などの人事等級のランクの上がり下がりを指します。
一方、部長や課長などの役職の上下動を、昇進・降職といいます。

たとえば、会社の等級制度、役職制度が図のようになっていたとします。

この例では、人事等級はS1~S6、M1~M2となっています。そして、等級に課長、部長などの役職が対応します。

この場合、たとえばS5等級からS6等級に上がることを「昇格」、逆にS6等級からS5等級に下がることを「降格」といいます。
一方、課長代理から課長に上がることを「昇進」、課長から課長代理に下がることを「降職」といいます。

人事評価が判断材料に

昇格・降格は人事評価を判断材料に行います。

人事等級制度では、等級ごとに求める要件(能力、担うべき役割の大きさなど)が定義されています。
昇格や降格では、対象者が等級要件を満たしているか否かを判定するわけですから、人事評価抜きに実施することはできません。

昇格・降格判定のポイントは、次の通りです。

・安定的な要素を判断材料にすること
・安定的に発揮しているか否かを判定すること
・将来性も判定すること

安定的な要素を判断材料にすること

等級格付けは、いったん決めたら、数年は継続するのが原則です。

したがって、昇格・降格判定に使う人事評価要素も、安定的に発揮される要素、すなわち、行動や能力を中心にします。
一方、成果はその年によって上限変動することが多いです。
そのため、たとえば「上位ランクは常に成果を問われる」という仕組みであれば、上位ランクについては「成果評価」も使います。

継続的に発揮しているか否かを判定すること

高い評価(または低い評価)を継続的に取り続けていることも、昇格・降格判定の判断要素です。

したがって、人事評価は複数回の結果を見るようにします。
その期だけ、たまたま高評価(低評価)だったということも、往々にしてあるからです。
特に上位ランクであれば、複数回の結果を見るのは必須です。

将来性も判定すること

人事評価は、評価対象期間に実際に取った行動や達成した成果、あるいは、現時点の能力のレベルを判定するものです。
つまり、人事評価で判定するのは、被評価者の「過去実績」および「現在価値」です。

しかし、昇格では、「その人を上位ランクに上げても、そのランクが求める要件を満たすことができるのか」を判定しなくてはなりません。
したがって、人事評価の結果に加えて、将来性も判定する必要があるのです。

もっとも確実なのは、昇格の前に、上位ランク相当の業務を担当させて、遂行できるかどうかを判定することです。
それが諸般の事情でできなければ、これまでの職務遂行状況から類推するようにします。

一方、降格の場合は、現在のランクの要求水準を満たしていないことが明らかであることが要件になりますから、人事評価結果で概ね判定はできます。
とはいえ、やはり人事評価だけで単純に判断してしまうのではなく、今後の改善の見込みを判定すべきでしょう。

以上から、人事評価の結果は、昇格(降格)判定の最低基準、すなわち、エントリー基準とし、実際の判定は、「格付け会議」などの場で別途行うようにします。
人事評価が一定レベルに達したら、自動的に昇格・降格するようなやり方は原則NGです。

もっとも、下位ランクであれば、人事評価結果で自動的に昇格するという方法でも、いいでしょう。
下位ランクなら、人事評価が一定レベル以上、すなわち、現在のランクが求める要件を満たしていれば、昇格させても大丈夫と判定しても問題ないことが多いからです。

しかし、降格でそのような運用をする、つまり、人事評価が一定レベル以下なら自動的に降格とするというやり方は、下位ランクであってもすべきではありません。
人事評価を元に、別途判定する方法をとる必要があります。

昇格基準の例

また、昇格判定では、能力評価が重要です。
先ほど、人事評価では、過去と現在しか判定しないと述べました。
しかし、人事評価の中でも、能力評価の場合は、将来性を評価することが可能です。
したがって、人事等級制度が役割基準や職務基準であっても、能力評価は実施するのがいいでしょう。

わが社の人事評価制度、賃金制度をどうするか

以上、今回は人事評価のフローや評価者について解説させていただきました。

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