人事評価の目的を明確にしよう

人事評価の悩ましさの本質

人事評価制度は、人事制度の要にくるものです。
そして一番悩ましい問題でもあります。

たとえば、最近のトピックに絡めて少し見てみましょう。

ワークスタイル変革のひとつにテレワークがあります。
テレワークには様々なメリットがある一方で、デメリット、問題もあります。

問題点としてよく指摘されるのが人事評価の難しさです。

つまり、直接顔を合わせる機会が激減してしまったので、働きぶりがよく分からないということですね。

しかし、こんな疑問も出てきます。

「それなら、テレワークになる前は働きぶりをしっかり把握していましたか?」

「働きぶり」という言葉が案外曲者です。
このような言い方をする場合、その中身は「一生懸命やっているようだ」とか「忙しく動き回っている」といった表面的なイメージを指していることが多いのですね。

人事評価をきちんと行うためには、仕事の目的や具体的な成果物、目的達成のために実際にとった行動事実、最終成果や中間成果などを把握していなくてはなりません。

目的の明確化と事実の把握ということです。

このようなことは通常勤務かテレワークかにかかわらず、人事評価の重要なポイントなのです。
そのようなことがきちんとできているか、できるような仕組みになっているかが問題なわけですね。
それが、テレワークで顕在化したということだと思われます。

では、人事評価というのはそもそも何のためにやるのかを考えてみましょう。

人事評価はなんのために?

人事評価制度を構築していく際、まず考えるべきは、「何のための人事評価制度か」ということです。
この答えは、ひとつではありません。
人事評価制度には様々な目的があります。
その代表例は、賃金や賞与の決定です。
これだけのために、人事評価を行っている会社も少なくありませんが、人事評価の目的は、それだけではありません。

目的をどこに置くかによって、人事評価制度の作り方、運用のしかたが異なってきます。

人事評価の3つの目的

人事評価の目的は、次の3つです。

1)処遇決定
2)人員配置、組織管理
3)人材育成

処遇決定

賃金、賞与の決定や昇進・昇格などの人事処遇の決定のために、人事評価を行います。
人事評価のもっとも基本的な目的です。

ちなみに、会社の人材を評価する手法を指す呼称として、次のようなものがあります。
・人事評価
・人事考課
・査定

「査定」という言い方は、成績をつけて賃金や賞与を決めるというニュアンスが強くなります。

しかし、「人事評価」と「人事考課」に厳密な区別はないように思います。
「人事評価」は人材育成なども視野に入れているが、「人事考課」は処遇決定に限定されているという解説を読んだことがありますが、現実にそのように区別して使われているとは思えません。

私はどちらでもいいような気がしますが…

配置、組織管理

人事評価によって、会社にどんな人材(レベル、得意分野など)がいるのかを把握することができます。
その情報を元に、人材配置や、組織(部、課など)の長に誰を据えるかを決めることができます。
昇進とも関連します。

人材育成

従業員一人ひとりの強み、弱みを把握することが、人事評価により可能になります。
それによって、教育必要点が明確になります。

さらに、全社的な人材の分布状況が見えてきます。
これは--
1)部署別のマンパワーの状況(頭数だけではない)
2)全社的に人材が充実している事業分野、不足している事業分野
--の2つです。
ここを明確にすることにより、全社的な人材育成戦略を立てることができます。

自社の人事評価制度は?

自社の人事評価制度に、どんな目的を、どの程度もたせるか--ここが人事評価制度設計の基本になります。
全部でも、一部でもいいでしょう。
要は、何を目的に人事評価制度を作るかを明確に意識することが肝心です。

検討のポイントは、①これまで人事評価を実施していたか、②人事評価にどの程度手間をかけられるか、かける気があるか、③1番目と2番目を総合した、会社の労務管理レベルはどのぐらいか、です。

これまで人事評価をまったくやっていなかったところに、多目的で手間のかかる制度を入れても、おそらく形骸化するだけでしょう。
一方、これまでも人事評価をやってきたが、改良したいということであれば、人材育成などの観点を強くするなど、人事制度のメインツールにレベルアップさせるということを考えてもいいかもしれません。

会社の現実を客観的に把握した上で、より良い人事・労務管理の実現のために、人事評価制度を検討しましょう。

わが社の賃金制度をどうするか

以上、今回は人事評価は何のために行っているのか、その目的について解説させていただきました。

会社が発展していくうえで、人事制度、賃金制度の整備は欠かせません。
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