人事評価の「透明性」とは

人事評価を公平で納得性のあるものにするうえで大事な要素に、「透明性」があります。
それと対極にあるのが、「密室評価」です。
これは、誰が、いつ、どのような基準で評価しているのか、そして、評価結果がどうなったのかが知らされていない状態を指します。

つまり、次の「評価の4つの透明性」が満たされていない状態ということです。

<評価の透明性>
①評価者は誰か
②評価基準はどうなっているか
③評価プロセスはどうなっているか
④評価結果はフィードバックされるか

人事評価をやっているのかどうかもよく分からないというケースもあります。
それでいながら、賃金には差がついているという状態になっているわけです。
これでは、社員の納得感は得られず、働く意欲もそがれてしまいます。

今回のテーマはこの透明性のひとつ、「評価結果の透明性」にかかわる問題です。
他の透明性が制度全体に関するものであるのに対し、評価結果の透明性は、個人に関するものであるという特徴があります。

人事評価の最終結果はフィードバクすべき

人事評価の最終結果は、上司と本人には必ず伝えるようにします。

やり方は基本的に、まず上司に結果とその理由を伝え、上司が本人に伝えるという方法を取ります。
上司が本人に評価結果を伝えることを「人事評価のフィードバック」といいます。

ここで大事なのは、単に評価結果を伝えるだけでなく、①評価理由、②今後の強化ポイントの2点もきちんと説明することです。

また、上司がつけた評価と、最終評価結果が異なっていても「上が勝手に評価を変えた」という責任回避的な説明はしないようにしなけてはなりません。
そのような場合には変更理由をきちんと人事部などに確認し、それを説明することが必要です。

人事評価結果を公開するのは

では、上司、本人以外の社員にも人事評価結果を公開するというのはどうなのでしょうか。

これは、会社の競争政策によって異なります。

社員間の競争を強くしようということなら、評価結果の公開という方法もあります。
人事評価ではありませんが、営業部署などで、社員の受注実績などをグラフにして貼り出すといったことも、同じ狙いと言えます。

しかし、このような方法は、社員が個人主義に走る、社員の協力関係が阻害される、目に見える結果が出る仕事しかやらなくなるといった副作用をもたらします。

公開を部署に限定するといった方法をとっても、全社公開と同じになります。
情報は広がります。
したがって、上司、本人以外の社員に人事評価結果を公開するということは、全社公開と同じことになると考えていいでしょう。
以上から、評価結果の第三者公開は慎重に考える必要があります。

わが社の人事評価制度、賃金制度をどうするか

以上、今回は人事評価のフィードバックや公開をめぐる問題について解説させていただきました。

会社が発展していくうえで、人事制度、賃金制度の整備は欠かせません。
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