労働時間コンサルティングのあらまし

・就業規則、36協定、残業管理などが法令上問題ないかを診断・確認します。
・安全衛生管理体制を、長時間労働の点から問題ないかを診断・確認します。
・管理監督者の適用除外が問題ないかチェック、「名ばかり管理職」問題を防ぎます。

・適切な労働時間管理ができるような仕組みを作ります。

専門職、外勤の営業部員など、業務実態に対応した労働時間制度を検討します。

管理監督者の範囲と処遇を明確にし、「名ばかり管理職」問題のリスクを防ぎます。

・長時間労働者に対する面接指導などのケア体制を整えます。
・長時間労働を押さえるための方策をご指導します。

労使協定、就業規則を整備します。
労働時間をめぐる問題
長時間残業が悩みのタネになっている会社は、数多くあります。
景気が悪くなって、売上は落ちているのに、忙しさは変わらないと嘆いている人もいます。
長時間残業は、会社にとっては、コスト要因です。
それが業績を圧迫すれば、働く人にも跳ね返ってきます。
一方、働く人にとっても、長時間残業は、自分の時間がなくなる、心身が疲弊するといった問題をもたらします。
もし、過労で心身の病気になった、さらには過労死・過労自殺といったことになれば、本人にとっても大変不幸なことですし、会社にとっても、貴重な人材が失われ、また、会社が安全配慮義務違反を問われるといったリスクにつながります。
実際、メンタルヘルス障害の原因の多くは、過重労働にあると言われています。
そもそも、長時間残業が常態化するのは、どこに原因があるのでしょうか?
それは、次の3つに分類できます。
@業務負荷:業務量が絶対的に多い、どう考えても人員が足りない
A人材:従業員の能力・スキルが不足している、従業員の意識に問題がある
B会社の仕組み・マネジメント:業務プロセスや組織が非効率、意思決定ラインや仕組みが整備されていない、管理職の意識やスキルに問題がある
その一方、労働時間の把握の仕方・管理方法に問題があることもあります。
また、労働時間管理の仕組みや、勤務形態などを検討した方がいいこともあります。
サービス残業トラブルには
どんなリスクが?
サービス残業(賃金未払い残業)に対する、行政の取り締まり、そして世間の目が厳しさを増しています。
「サービス残業」と一言でいいますが、どのようなものがあるのでしょうか?
要は、残業をしていたのに、残業手当を支払わないことですが、これにもさまざまな形態があります。
・残業手当をまったく支払わない
典型的なサービス残業です。
・割増にしていない
残業をしても、所定時間賃金しか払わないとい例です。
・労働時間を把握していない
残業時間が分からないから支払わないという話ですが、そもそも労働時間を把握しないこと自体が違法です。
・残業時間をカットする
これには、次のようなパターンがあります。
・月の残業時間の上限を設定し、それを超える残業は一切認めない。
・「30分以上」など一定時間を超えないと残業を認めない。
・1時間未満や30分未満などの端数を切り捨てる。
・裁量労働制の不適切な運用
これには、次のようなパターンがあります。
・どう考えてもみなし労働時間で収まらない業務実態にある。
・裁量制のない従業員に裁量労働制を適用している。
・「名ばかり管理職」
こんな風に考えている経営者にお会いしたことがあります。
「もしサービス残業が見つかったら、それ以後は残業代をきちんと払うよ」
この考え方は、危険です。
なぜなら、未払い残業代があった場合、過去に遡って支払わなくてはならないからです。
これは労働基準法第115条の「この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は2年間、この法律の規定による退職手当の請求権は5年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。」という規定が根拠。
このように賃金の時効は2年となっているのです。
残業代も賃金ですから、この規定が適用されます。
つまり、未払い残業代が発覚したら、最大2年分遡って支払わなくてはならないのです。
当然、「残業代をもらっていません」と苦情を言ってきた人にだけ払えばいいというものではありません。
未払い残業が発覚したら、全員分が対象になります。
また、この分の金利も、「遅延損害金」として請求の対象になります。
これが年6%。既に退職している人については、14.6%です。
さらに、こんな規定もあります。
労働基準法第114条 裁判所は、第20条、第26条若しくは第37条の規定に違反した使用者又は第39条第6項の規定による賃金を支払わなかつた使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。
「第37条」が、割増賃金、すなわち残業代に関する規定です。
要するに「倍返し」。
強烈なペナルティです。
残業問題のリスクは、残業代だけではありません。
もうひとつ、重要なのが、「健康・メンタルヘルスリスク」です。
従業員が心身の健康を害した場合、当然、戦力がダウンします。これが直接の影響です。
また、他の従業員の負荷も増大します。
部署の従業員がメンタルヘルス障害になり、その人のカバーをしていた従業員も心身の健康を害してしまったという例もあるぐらいです。
また、心身の健康に問題があると、品質やサービスにも悪影響を及ぼしますし、さらに、労働災害も引き起こしかねません。
長時間労働が原因で、従業員が心身の健康を害した場合、会社が訴訟を起こされることもあります。
そして、会社が安全配慮義務を怠ったと判定されると、損害賠償を命じられることがあります。
もちろん、金銭的な損害だけではありません。
社会的評価など、会社の受ける無形のダメージも相当なものになるでしょう。
労働時間制度を整備して
活き活きした会社に
労働時間問題の解決に有効な手段は、次の3つです。
@労働時間管理の見直し
A働き方の見直しと柔軟な労働時間制度の活用
B業務改革・意識改革
@労働時間管理の見直し
時短を進める上で、労働時間の適切な管理が欠かせません。
タイムカード打刻時刻を、ほとんどノーチェックで終業時刻とし、残業時間としてカウントしている会社が少なくありませんが、これで適切な労働時間管理をしているとは到底言えません。
もちろん、仕事をしていたにもかかわらず、残業カットをするような行為や、自宅持ち帰り残業を余儀なくされるような状況にすることは、絶対にやってはいけません。また、タイムカード打刻時刻が、労働時間把握の有効な手段であることも事実です。
ただ、ここで強調したいのは、会社は社員の業務状況を把握し、必要以上の残業をさせてはならないということです。管理職はそのようなアサインをしてはならないし、残業が自己申告制の場合は、その認定を厳正にしなくてはならないのです。
A働き方の見直しと柔軟な労働時間制度の活用
雇用の現場は多様化が進んでいます。
これは次のように整理することができます。
1.人材を活用する側からの多様化
・雇用形態の多様化
・仕事の態様の多様化
2.働く人の側からの多様化
・働き方の多様化(選択肢の多様化)
ここでは、労働時間管理との関係が深い「仕事の態様の多様化」を取り上げていきましょう。
産業構造の変化やテクノロジーの進化を背景に、労働基準法制定当時にはまったく想定されていなかった仕事が増えています。それは、一般に知識労働と言われる業務です。その特徴は、次の3つになります。
・時間と成果が一致しない
・仕事のできばえが、個人の能力や感性に大きく左右される
・外から見ていても何をしているのか分からない
そして、このような新しい業務に対応した労働時間制度もできています。
それが、「みなし労働時間制度」や「フレックスタイム制度」です。
B業務改革・意識改革
「業務改革」というと、たいへん幅広いものになりますが、ここでは労働時間管理との関係でポイントになることを述べていきます。
長時間労働は、業務の進め方や、業務を担当する社員の意識に原因があることが少なくありません。
それは次の3つに整理できます。
1)業務そのもの(業務配分、業務フローとスケジューリング、ムダな業務の存在)
2)本人の意識
3)管理職の管理スタイル
1)業務そのもの
1.業務配分
業務配分に偏りがあることは少なくありません。特に優秀な人に業務が集中するということがしばしば見受けられます。上司は、安心して任せられる人にどうしても業務をアサインしがちです。
しかしこのようなことが過負荷になり、生産性を下げるのです。また、他の人が育たず、結果として部署全体の成果が上がらなくなります。
さらに、業務レベルを考えずにアサインするということもよく見られます。つまり、「優秀で業務が素早い」という理由だけで、低レベルの仕事でも何でもその人に割り振られてしまうのです。ますます負荷が高くなるだけでなく、人材活用の面でも、たいへんなロスになっています。
2.業務フローとスケジューリング
・業務の流れが悪い
・業務の流れが整理されていない
・業務の流れが確立されていない(その都度考えている)
このような場合、生産性は上がらず、長時間労働が恒常化します。
また、業務がスケジュール化されていない場合も同様です。
業務フローをできる限り「見える化」し、スケジューリングをきちんと行うことが必要です。
3.ムダ業務
よく言われることですが、会社内にはムダな業務が少なくありません。手続のための手続、必要性のなくなった業務、連絡が悪いために発生している業務・手戻り業務などがないか、定期的に洗い出す必要があります。
2)本人の意識
業務を効率よく終え、ムダな残業はしないという意識がない限り、時短は絶対に進みません。
いわゆる「ダラダラ残業」が発生します。本人の意識を変えないと根本的な解決にはなりません。
これに関連して、日本の会社にありがちなのが、「長時間働く人が優秀で貢献度も高い」とする風土。管理職にそのような意識をもっている人も少なくありません。
このような状況にあるとしたら、会社(人事部門)が主導して意識改革に乗り出す必要があります。
3)管理職の管理スタイル
管理職が前述のように「長時間働く人が優秀で貢献度も高い」と思っていたり、「自分が席にいる間は部下も会社にいるべき」と思っていたら、時短は望むべくもありません。これは、「管理スタイル」というより、管理職の意識の問題。管理職研修や人事評価制度を通じて、意識を変革する必要があります。
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