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就業規則の実際(22)~労働時間、休日、休暇(5)

休日の原則

会社は働く人に休日を与えなくてはなりません。
労働基準法で休日は次のように定められています。

(休日)
第36条 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも1回の休日を与えなければならない。
② 前項の規定は、4週間を通じ4日以上の休日を与える使用者については適用しない。

つまり休日は、「毎週1日以上、または4週4日以上」与えなくてはならないわけです。

「1週間」をいつからいつまでにするかは会社の自由ですが、就業規則などで特定しておかなくてはなりません。特定がない場合は、日曜日から土曜日までの暦週となります。
また、「4週間」については、起算日を決めておかなくてはなりません。

週1日の休日があれば、労基法違反とはなりません。

ただし、労基法は一方で、週の労働時間を40時間と定めています。
もし1日の労働時間が8時間だとすると、週2日休日がないと、労基法違反となりますので、注意が必要です。

なお、国民の祝日や年末年始等をどうするかは、会社の自由です。

 

法定休日・法定外休日

前述の通り、法が義務づけている休日は、「週1日または4週4日」です。
これを「法定休日」といいます。
法定休日に仕事をさせた場合は、割増賃金を支払わなくてはなりません。
(割増賃金については後述します)

法定休日以外の休日を、「法定外休日」といいます。
法定外休日に仕事をさせた場合も、賃金は支払わなくてはなりませんが、割増にする義務はありません。

このように、同じ休日でも、法定休日と法定外休日では、法律上の取り扱いが異なります。

では、週休2日の場合、法定休日をあらかじめ決めておく必要はあるのでしょうか?
法律は、法定休日の特定までは義務づけていませんので、その必要はありません。

したがって、次のような扱いが考えられます。

<パターン1>
・休日は毎週土・日とする。
・日曜日を法定休日とする。(したがって日曜日に仕事をした場合は3割5分の割増賃金)

<パターン2>
・休日は毎週土・日とするが、法定休日は特定しない。
・土・日とも出勤し、1週間休日がなかった場合は、休日出勤日のどちらか一方を法定休日労働とする。(どちらにするかは会社の決め)

 

休日は暦日が原則

休日は、暦日が原則です。
ただし、交替制勤務など、勤務が暦日をまたがる場合は、継続24時間の休日という方法でもOKです。就業規則などで、交替制勤務のことをきちんと定める必要があります。

 

休日は特定しなければならない?

労基法は、休日の特定までは求めていません。ですから、「休日は週2日とする」というような決め方でも問題ありません。
しかし、厚生労働省の通達にも、「特定することが法の趣旨に沿う」とあります。
「休日は毎週土曜日、日曜日とする」というように、日を特定するのが望ましいですね。

 

休日を振替える場合は?

休日振替とは、休日と定められている日を勤務日とし、別の日を休日とすることです。
就業規則に、休日の振替をすることがある旨を定めておく必要があります。
また、休日振替すべき具体的事由と、振り替えるべき日を具体的に規定するほうが望ましいとされています。ただ、現実に「具体的な事由」を定めるのは、難しいことも多いでしょう。「業務の都合により」という定め方にならざるを得ないかもしれません。

休日を振り替えた場合、もともとの休日は勤務日となり、「休日出勤」とはなりません。従って、割増賃金を支払う必要はありません。

ただし、その場合でも、1週1日または4週4日の休日は確保する必要があります。
振替後の休日をいつにするかについて、労基法上の決まりはありませ。4週4日の枠内であれば、いつでもいいのですが、できるだけ近い日にすることが望ましいですね。

 

代休とは?休日振替との違いは?

休日振替と似ていますが、休日振替の場合は、元々の休日が勤務日に転換されるので、その日の勤務は休日勤務とはなりません。

代休の場合は、元々休日だった日はあくまでも「休日」です。ですから、この日に勤務すれば、それは「休日出勤」となり、割増賃金の対象になります。

代休は義務ではありません。会社の「決め」です。
与え方についても、会社が強制的に与える(休ませる)、本人の請求による、という2パターンがあります。
また、休日出勤時間が、一定時間以上になったら与えるという方法もあります。

 

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2019年01月16日

働き方改革への取組(17)~労働時間短縮への取組⑯

働き方改革法制の目玉になっている時間外労働の抑制(=時間外の上限時間の設定)に、会社は次の3つの側面から対応を考える必要があります。

①労働時間管理
②労働時間制度
③生産性向上

今回はこのうち、生産性向上について触れたいと思います。

 

生産性向上

働き方改革の目的は、生産性の向上にあります。
労働時間短縮はもとより、ワークライフバランスの実現、創造性の向上も、突き詰めていけば生産性が根っこになります。

生産性向上は3つの観点から考えます。

①業務のやり方を効率化できないか
②業務と業務の流れを効率化できないか。ボトルネックはないか
③そもそもその業務は必要か

肝心なのはゼロベースで考えることです。

たとえば、業務のムダの象徴としてヤリ玉にあがる会議。
「その会議は必要か」という議論をしますが、「必要性」というのはひねり出せばいくらでも出てきます。
「その会議がなくなったら困ることがあるのか」と考えるべきです。

また、会議そのものは必要としても、参加メンバーは適当かという目線も大事です。
「この案件は○○部も無関係ではないので、メンバーに入れよう」という発想が実に多いというのが私の実感です。そうして、一言も発しない人が過半を占めるという奇妙な会議があちこちで開かれるのです。


私は業務時間中は一切のムダがあってはならないと言うつもりはありません。
疲れたり煮詰まったりしたときはブレーク時間も必要です。

というか、このような時間はムダ時間ではありません。

本当にムダなのは、仕事をするでもなく、かといってリフレッシュするでもない、義務的にいるだけの時間、待たされているだけの時間です。無意味な業務をやらされている時間もそれになりますね。

そのような時間が実は結構多い。

こういう時間を失くしていくことが肝心かと。

 

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2019年01月16日

就業規則の実際(21)~労働時間、休日、休暇(4)

休憩時間の長さ

労働基準法による休憩時間の定めは次の通りです。
・労働時間が6時間を超える場合は45分以上
・労働時間が8時間を超える場合は1時間以上

所定労働時間が8時間以下の場合は、最低45分の休憩が必要です。
残業などで労働時間が8時間を超える場合は、15分の休憩を追加しなくてはいけません。

また、所定労働時間が6時間以下の場合は、休憩時間を与える法的義務はありません。
とは言え、現実に、仕事が4時間、5時間と連続すると、疲労もたまります。生産性は下がるでしょうし、ミスや事故にもつながりかねません。
労働時間が6時間以下でも、それなりの休憩時間を与えることが望ましいでしょう。

 

休憩の与え方

1)勤務時間の途中に与えること

休憩時間は、勤務時間の途中に与えなくてはいけません。
「始業9時、終業17時、休憩17時~17時45分」というのはダメです。

2)原則として一斉に与えること

休憩は一斉に与えることが原則です。後で書きますが、「休憩の自由利用」を担保するという趣旨です。

ただ、例外が2つあります。
・労使協定
・労基法第40条

労使協定

労働者の過半数で組織する労働組合、または労働者の過半数代表者との間で書面協定を結べば、一斉に付与しなくてもOKです。
協定すべき事項は
・休憩を一斉に与えない(分散して与える)従業員の範囲
・分散して与える「与え方」
です。

労基法第40条

一定の事業場は、一斉休憩の原則が適用されません。サービス業など、全員が一斉に休憩でいなくなってしまうと、お客さんに不便な思いをさせてしまうような事業です。このようなところは、就業規則で休憩の与え方を定めます。
該当する事業は、次の通りです。
・旅客、貨物の運送事業
・物品の販売または理容の事業
・金融、保険等または広告の事業
・映画、演劇、その他興業事業
・郵便、電信、電話事業
・保健、衛生の事業
・旅館、飲食店、娯楽場
・官公署

 

休憩は自由利用が原則

休憩時間は、従業員に自由に利用させなくてはなりません。
休憩時間中に電話当番をさせたり、来客が来た場合は対応させたりした場合はどうなるのでしょうか。

「電話がかかってこなければ休憩していられるのだから、問題ない」
「実際に電話に出たり、来客の対応をしていた時間の分だけ休憩時間を伸ばせば良い」
――いずれも「×」です。
このような時間は、いつでも業務に対応できるように待機している「手待ち時間」ということになり、労働時間となります。

それなら、休憩時間中は、法に触れない限り何をしていても良く、会社はそれに対して何もできないのでしょうか。
いくらなんでも、そんなことはありません。
事業場の規律保持上、必要な制限を加えることはできます。

・外出を許可制としても、事業場内で自由に休息できればOKです。
・休憩時間中の、ビラ配布などの政治活動に制限を加えることができるか否かについては、企業秩序を乱す行為かどうか、労働協約などがどうなっているか、などによって判例が分かれいています。
ケース・バイ・ケースとしか言いようがないのですが、程度問題ということになるのでしょう。

 

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2019年01月15日

就業規則の実際(20)~労働時間、休日、休暇(3)

労働時間とは?

就業規則には労働時間に関する事項を必ず記載しなくてはなりませんが、そもそも「労働時間」とは何でしょうか?
「働いている時間のことでしょう?」…確かにその通りです。
でも、この「働いている時間」の範囲をめぐって、これまで実に多くの紛争があったのです。

たとえば、仕事を始める前の準備作業は労働時間に入るのでしょうか?
仕事をするためにの準備作業なのだから、労働時間に入るという考え方、仕事そのものではないのだから労働時間にはならないという考え方、それぞれ一理あります。
それでは、出張中の移動時間はどうでしょう?
出張でなくても、外回りの営業マンが得意先と得意先の間を移動している間は?
勤務の間の仮眠時間は?
他にも色々なケースがありますね。

こういうことをしっかり把握しておきましょう。
そうすれば、次のステップに進めます。

「それでは当社はどんな労働時間管理をするのがいいのだろう?」
これを考えるには、そもそも労働時間とは何かということを、しっかり押さえておかなくてはなりません。

労働時間の定義を、社会保険労務士会編の「社会保険労務ハンドブック」(中央経済社)から引用します。

「労働時間とは、休憩時間を除いた実働時間をさし、休憩時間をも含めた拘束時間と異なる。また、実働時間とは、労働者が現実に労働に従事している時間だけでなく、労働者の労働力がなんらかの形で使用者の指揮命令下におかれている時間をいい、したがっていわゆる手待時間(たとえば販売店の従業員が買物客のくるのを店内で待っている時間)は、当然労働時間に含まれる」

この「指揮命令下」というのも、実務上大切な概念です。

ここではっきりしていることは、何かしら手を動かしたり、会議で発言している時間だけが労働時間ではないということです。
仕事をしないでぼ~っとしていたからといって、その時間を勤務と認めず、時間相当分の賃金を差し引くことは、労働時間の定義に限って言えば、やってはいけません。

これは、職場の労務管理や懲戒など、別の問題としてとらえる必要があるということです。

 

労働時間に関する労働基準法の規定

労働時間は、1日8時間、1週40時間を超えてはならないと労働基準法で定められています。前回お話しした通り、この「8時間」とか「40時間」には休憩時間は含まれません。


1週」は、通常は日曜日~土曜日の「暦週」を意味しますが、就業規則で、別の決め方もできます。ただ、特別な必要性がなければ、暦週を使うのがいいでしょう。

「1日」は、午前0時から午後12時までの暦日を指します。

それでは、残業が長引いて、午後12時を過ぎた場合などはどうなるのでしょうか。
この場合、暦日をまたがっていても1勤務として扱います。

それでは、今度は、徹夜になってしまった場合はどうなるのか?
この場合は、徹夜明けの日の始業時刻までを、前日からの勤務時間としてカウントすることになります。

 

労働時間になる例、ならない例

それでは具体的に、労働時間になる・ならないを、これまでの通達や判例から拾ってみます。

<労働時間になる例>
・昼休み中の来客当番
・黙示の指示による労働時間
 たとえば、管理者が部下に、明確に残業を指示していなくても、部下が法定労働時間を超えて仕事をし、それを黙認していた場合は、労働時間(残業時間)となります。
・終業時間外の教育訓練
自由参加のものであれば、労働時間にはなりません。
・着替え時間
着用を義務づけられた作業服などを、事業所内で着替える時間は労働時間になります。
・仮眠時間

<労働時間にならない例>
・出張先への往復に要した時間
出張中の移動時間は、労働時間になります。
・趣味の会の活動

 

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2019年01月15日

働き方改革への取組(16)~労働時間短縮への取組⑮

働き方改革法制の目玉になっている時間外労働の抑制(=時間外の上限時間の設定)に、会社は次の3つの側面から対応を考える必要があります。

①労働時間管理
②労働時間制度
③生産性向上

今回はこのうち、労働時間制度について触れたいと思います。

 

労働時間制度

労働基準法制定当時に一般的だった、全員が一斉に仕事を始め、一斉に終わるという業務形態も、いまではだいぶ変わってきました。
それに対応して、労働時間制度も次のようにいろいろなバリエーションが作られています。

・変形労働時間制(1年単位、1ヶ月単位、1週単位)
・フレックスタイム制
・事業場外みなし労働時間制
・裁量労働制(専門業務型、企画業務型)

フレックスタイム制は今回の法改正で多少は柔軟な運用ができるようになりました。
また、大騒ぎになった高度プロフェッショナル制も、旧来と異なる労働時間制と言えます。

ポイントは、全社で同じ制度にする必要はないということです。
まぁ、当たり前ではありますが。

部署単位、業務内容単位、職種単位、階層・ランク単位でどのようなやり方が最も合理的かを吟味するのがいいですね。

 

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2019年01月15日
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